この記事の要点
ダックスフンドのサイズは、スタンダード・ミニチュア・カニンヘンの3つです。日本と国際的な基準では、胸まわりの長さ(胸囲)で分けます。サイズが違っても、猟犬としての性格や体のつくりは共通しています。どのサイズでも背中の病気(椎間板ヘルニア)に注意が必要なので、体重と筋肉を保ち、高い所からの飛び降りを減らす暮らしを整えましょう。
後ろ足がふらつく、立てない、おしっこが出ないときは、すぐに動物病院へ連絡してください。受診の目安は、このあとの「気をつけたい病気」の最後にまとめています。
この記事で分かること:3つのサイズの基準と違い/サイズに関係なく共通する性格と被毛/背中を守る暮らし方と受診の目安
2026年9月更新|犬種団体や大学などの資料をもとにまとめています
「カニンヘンとミニチュアは何が違うの?」「スタンダードはどのくらい大きいの?」。ダックスフンドを迎えようとすると、まずサイズの呼び名に迷います。日本でのダックスフンドの登録数は、2025年に全犬種で3位でした。その多くはミニチュアとカニンヘンで、スタンダードは145頭とごくわずかです。
この記事では、3つのサイズの違いと、サイズに関係なく共通する性格、被毛、暮らし方、気をつけたい病気をまとめます。
ダックスフンドの基本データ
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 原産 | ドイツ |
| もともとの役割 | 地上と地下(巣穴の中)の両方で働く猟犬 |
| サイズ | スタンダード・ミニチュア・カニンヘンの3つ(日本と国際的な基準の場合) |
| 毛 | スムース(短毛)、ロング(長毛)、ワイアー(硬い毛)の3タイプ |
| 体つき | 胴の長さは、肩までの高さの約1.7〜1.8倍。地面から胸までのすき間は、肩までの高さの約3分の1 |
| 寿命 | 12〜16年ほど |
| 運動 | 1日2回、ほどよい長さの散歩(1日1時間ほどが目安とされる) |
| 気をつけたい病気 | 椎間板ヘルニア(背中の病気)、耳の炎症、目の病気・てんかん(主にミニチュア)など |
胴が長く足が短い体つきは、どのサイズにも共通しています。この体つきが生まれた理由は、ダックスフンドが短足で胴が長い理由(遺伝と狩猟の歴史)で詳しく紹介しています。
3つのサイズの違い
ダックスフンドは、3つのサイズと3つの毛のタイプを組み合わせた9種類に分かれます。どれも同じ1つの犬種で、体のつくりや性格の基準は共通です。違うのは大きさの基準だけです。
| スタンダード | ミニチュア | カニンヘン | |
|---|---|---|---|
| 胸まわり(オス) | 37〜47cm | 32〜37cm | 27〜32cm |
| 胸まわり(メス) | 35〜45cm | 30〜35cm | 25〜30cm |
| 体重(アメリカの基準) | 約7〜15kgが多い | 約5kg以下 | 区分なし |
胸まわりの基準は、日本のジャパンケネルクラブと国際的な基準(国際畜犬連盟)で同じです。境目の数字は、小さいほうのサイズに入ります(たとえばオスの胸まわりがちょうど37cmならミニチュア)。生後15か月以上になってから、肩のいちばん高い所と胸のいちばん低い所を通るように、メジャーで一周して測ります。
カニンヘン(ジャパンケネルクラブの表記は「カニーンヘン」)はドイツ語でウサギ、ダックスはアナグマを意味する言葉です。
体重の決まりは、国によって違う
- 日本と国際的な基準:胸まわりで3つに分け、体重の決まりはありません。「カニンヘンは〇kg」という数字をよく見かけますが、公式の基準ではなく目安です。
- アメリカとイギリス:スタンダードとミニチュアの2つだけで、カニンヘンの区分はありません。ミニチュアは約5kg以下(イギリスでは5kg未満が望ましい)とされています。
- 飼い主にとって大事なこと:サイズの区分は、犬種の基準(繁殖や審査のよりどころ)で決められたものです。暮らしの中で大切なのは、その子にとってちょうどよい体重と体つきです。目標の体重は、体つきを見ながら獣医師と決めましょう。
子犬のころのサイズ名は目安
サイズは、生後15か月以上で測った胸まわりで決まります。子犬のうちに「カニンヘン」「ミニチュア」と呼ばれていても、大人になってからの大きさを約束するものではありません。迎えるときは、親犬の大きさや体つきを見せてもらうと参考になります。なお、胸まわりの基準は、メスのほうがオスより2cm小さく決められています。
性格の基準は3サイズ共通
国際的な基準では、ダックスフンドの性格を「生まれつき友好的で落ち着きがあり、怖がりでも攻撃的でもない。情熱的で粘り強く、鼻がよくきく、すばやい猟犬」としています。この性格の基準は、3つのサイズで同じです。サイズで性格が決まるという基準はなく、1頭ずつの違いも大きいとされます。
とても賢い一方で、自分で判断する独立心が強く、頑固な面もあります。においを追うことに集中すると、呼んでも気づかないことがあります。体の大きさのわりに声が大きく、よく通るのも特徴です。地下の巣穴にいる犬の居場所を、地上の猟師に知らせるのに役立った声だとされています。
しつけは、ごほうびを使う方法が向いています。繊細な面もあり、きつい命令や罰にはうまく応えないとされています。吠えたときに叱るより、静かにできた瞬間や、呼ばれて戻ってきたときにほめる練習を、短く楽しく重ねましょう。
よくある誤解
- 「小さいカニンヘンは、猟犬らしさが薄い」
性格の基準はサイズで分かれていません。小さな子でも、においを追う集中力や、物音を知らせるよく通る声が見られます。 - 「足が短いから、散歩は少なくてよい」
背中を支える筋肉を保つために、毎日の運動が必要です。1日2回、ほどよい長さの散歩が目安です。 - 「頑固だから、厳しく叱らないと直らない」
罰を使うしつけは、不安や攻撃的な行動と関係があると報告されています。ごほうびを使う方法を基本にしましょう。
被毛は3タイプ。手入れの中身が変わる
毛のタイプは、サイズとは別に選べます。毛によって見た目の印象と手入れの手間が変わります。
| スムース | ロング | ワイアー | |
|---|---|---|---|
| 毛 | 短く密で、つやがあり体にぴったり沿う | つやのある毛で、のどやおなか側が長く、足に飾り毛がある | 表面の硬い毛と、根元のやわらかい毛の2層。あごひげと太い眉毛がある |
| お手入れ | タオルや手袋型のブラシでふく程度でよい | 毛の量に合わせて、ブラッシングを多めに | 週1〜2回、ブラシやくしでとかす。年に数回、古い毛を手で抜く手入れをすることも |
どの毛のタイプも、爪切りは月に1回が目安です。垂れた耳は炎症を起こしやすいので、ふだんから耳の中の赤みやにおいを見ておきましょう。
背中を守る暮らし方
長い背中を守るために大切なのは、「体を使わせないこと」ではなく、「筋肉を保ちながら、背中に急な衝撃をかけないこと」です。どのサイズでも考え方は同じです。
運動
運動には、体型を保つだけでなく、背中を支えて守る筋肉をつける役割もあります。イギリスでダックスフンド約2,000頭について飼い主に聞いた調査では、1日の運動が30分未満の犬は椎間板ヘルニアと診断された割合が高く、1時間を超える犬や活発な犬では低い傾向がありました。病気になった犬が運動を控えた結果とも考えられ、はっきり証明されたわけではありませんが、毎日の運動を続ける理由の一つになります。
子犬のうちは、運動のさせすぎに気をつけます。庭などでの自由な遊びとは別に、リードをつけた散歩を「月齢×5分」を目安に、1歳まで少しずつ増やしていく方法がすすめられています。においを嗅ぎながらゆっくり歩く時間も、猟犬らしい満足につながります。
段差とジャンプ
高い所からの飛び降りは減らし、ふだんの散歩や歩く運動まで止める必要はありません。ソファやベッドにはスロープや低いステップを置き、階段の上り下りを何度もくり返す遊びは避けましょう。飛び降りたときの衝撃は背中に負担をかけ、一度背中を痛めたことがある子では、さらに悪くなるおそれが高くなります。
家具に上り下りしている犬のほうが椎間板ヘルニアが少なかった、という調査もあります。ただ、これは飛び降りが安全だと示すものではありません。発症したあとで家具への上り下りを禁じた家庭が多かった可能性もあります。また、多くの背中のトラブルは、段差やジャンプといった特定のきっかけでは起きていないともいわれます。どこまで制限するかは、年齢やこれまでの病気に合わせて獣医師と相談してください。
体重
太りすぎは、長い背中に余計な負担をかけます。ダックスフンドは鼻がよくきき、食べ物を見つけるのが得意なので、食べ物は届かない所にしまいましょう。ちょうどよい体つきは、あばら骨に余分な脂肪がなく触ると分かる、上から見て腰にくびれがある、横から見ておなかが引き締まっている状態です。ロングの子は、見た目ではなく手で触って確かめます。
抱き方と床
抱き上げるときは、片手で胸を、もう片方の手で腰からお尻を支え、背中がまっすぐに近くなるようにします。前足の付け根だけを持って持ち上げると、背中が伸びて後ろ足がぶら下がります。すべりやすい床には、マットやカーペットを敷きましょう。
- 毎日の散歩で筋肉を保ち、体重と体つきを家族で同じように確かめる
- ソファやベッドにスロープを置き、飛び降りを減らす
- すべりやすい床にマットを敷く
- 胸と腰の両方を支えて抱く
- 夜間や休日に診てもらえる動物病院と、移動の方法を確かめておく
気をつけたい病気
ダックスフンドは全体として丈夫な犬種とされますが、次の病気が知られています。すべての子がなるわけではありません。急いで受診したほうがよい様子は、このあとの「受診の目安」の枠にまとめています。
椎間板ヘルニア
背骨の骨と骨の間には、クッションの役目をする「椎間板」があります。この椎間板が傷んで飛び出し、背骨の中を通る太い神経(脊髄)を押す病気が椎間板ヘルニアです。英語の資料では「IVDD」と書かれます。
ダックスフンドは、ほかの犬種と比べて10〜12倍かかりやすく、一生のうちに約2割〜4頭に1頭が症状を出すと見積もられています。足を短くする遺伝子と深く関係している病気です。3〜7歳ごろに起きることが多いものの、それ以外の年齢でも起こります。
はじめは、抱き上げるとキャンと鳴く、背中を丸めて頭を下げた姿勢でじっとしている、段差や車に乗るのを嫌がるといった「痛み」のサインとして出ることがあります。首の椎間板で起きると、首がこわばって頭を低く下げ、首を動かしたがらなくなります。進むと、後ろ足(首の場合は前足も)がふらつく、爪を地面にこすりながら歩く、足が動かない、おしっこのコントロールができないといった変化が出ます。まひが出て足の感覚がなくなると、手術までの時間が遅れるほど回復が難しくなるとされています。
サイズや毛のタイプによってなりやすさが違うかは、調査によって結果が分かれています。小さなサイズだから安心、大きなサイズだから安心、ということはありません。治療や家での過ごし方は、ダックスフンドと椎間板ヘルニア(受診の目安と暮らし方)で詳しく紹介しています。
そのほかの病気
- 少しずつ目が見えにくくなる病気:進行性網膜萎縮症(PRA)の一種が、ミニチュアのダックスフンドで知られています(3つの毛のタイプすべて)。繁殖の前に遺伝子の検査をすることがすすめられているので、親犬が検査を受けているか確かめると安心です。
- てんかん:けいれんなどの発作をくり返す病気です。ミニチュアのロングで多いこと、ミニチュアのワイアーには遺伝性のてんかんの一種(ラフォラ病)があることが知られています。
- 耳の炎症:垂れた耳は、耳の炎症(外耳炎)を起こしやすい形です。頭を振る、耳をかく、赤い、においが強いといった様子が目安です。炎症が耳の奥に及ぶと、首をかしげる、ふらつく、目が揺れるといった様子が出ることがあります。
受診の目安
- 後ろ足(首の場合は前足も)がふらつく、爪を地面にこすりながら歩く(急に悪くなっているときは、とくに急ぐ)
- 立てない、後ろ足(ときに4本とも)が動かない
- おしっこが出ない、または気づかないうちにもれている
- 強い痛みで鳴き続ける、痛がって動こうとしない
- けいれん(発作)が5分以上続く、短い間に次々と起きる、1日のうちに何度も起きる
- 抱き上げると鳴く、背中を丸めてじっとしている、首がこわばって頭を下げている
- 段差やソファに上がるのを急に嫌がる、散歩で歩きたがらない
- 初めてけいれんを起こし、おさまった(落ち着いたら早めに受診)
- 首をかしげたままになる、目が揺れる(耳の奥の炎症のことも)
- 頭を振る・耳をかくのが続く、耳が赤くにおいが強い
- 遊んだあと少し疲れて休んでも、起きたら歩き方・食欲・表情がいつもどおりで、抱いても嫌がらない(休んだあとも動きたがらない、抱くと鳴くときは上の枠へ)
- 耳のにおいが少し気になる程度で、赤み・かゆみ・頭を振る様子がない(ふだんの確認を続け、変化があれば受診を)
背中の痛みやふらつきがあるときは、受診までの間、ケージやサークルなどの狭い場所で休ませ、走ったり、ソファに上り下りしたりさせないでください。歩けるかどうかを確かめるために歩かせるのはやめましょう。運ぶときは、胸と腰を支えて背中をまっすぐに保ちます。
人の痛み止めは、犬には強い副作用が出ることがあります。獣医師の指示なしに、家にある薬を飲ませないでください。痛みが治まっても再び起きることがあるので、自己判断で運動を元に戻さず、獣医師と相談しながら進めます。
けいれんが起きているときは、犬を抱きしめたり頭をなでたりせず、口の近くに手を出さないでください。周りの壊れやすい物や倒れてきそうな物をどけ、階段の近くなら、できる範囲で下側に立って落ちるのを防ぎます。時間を計り、できれば動画を撮っておくと診察に役立ちます。電話では、次のことを伝えると話が早く進みます。
- いつから、どんな様子か(急に悪くなっているか)
- 歩けるか、どの足が動きにくいか
- おしっこやうんちが出ているか
- 飛び降りや転倒など、きっかけがあったか
- けいれんなら、続いた時間と回数
迷ったときは、まず動物病院に電話で相談してください。
アナグマとウサギの猟犬から生まれた3サイズ
「ダックスフンド」は、ドイツ語で「アナグマ犬」という意味です。その歴史は数百年前のドイツにさかのぼります。長く低い体は、アナグマの巣穴にもぐり込むための形でした。アナグマは体重が11〜18kgほどにもなる手ごわい相手で、ダックスフンドの賢さ、勇気、粘り強さは、この仕事のために育てられたと考えられています。
短い毛のほかに、とげの多いやぶで働くためのワイアー、寒い土地のためのロングが作られました。サイズも、追う獲物に合わせて大小が作られていきました。日本のジャパンケネルクラブは、ダックスフンドを「地面の穴に住むアナグマや兎用の猟犬」と紹介しています。いちばん小さいカニンヘンは、名前もドイツ語で「ウサギ」を意味します。
庭や毛布を掘る行動の理由と、安全な満たし方は、ダックスフンドが穴掘りする理由で紹介しています。
よくある疑問
- カニンヘンとミニチュア、飼いやすいのはどちらですか?
-
性格や体のつくりの基準は同じなので、サイズだけで飼いやすさは決まりません。どちらも毎日の散歩、背中を守る家の工夫、ごほうびを使ったしつけが必要です。大きさよりも、その子の性格や親犬の様子、家族の暮らし方に合うかを見て選びましょう。
- スタンダードなら、背中の心配は少ないですか?
-
いいえ。スタンダードでも椎間板ヘルニアは起こります。調査によっては、スタンダードのスムースで多いという結果も出ています。体が大きく重いぶん、抱き上げ方にも気を配りましょう。
この記事は公開情報をもとにWANLABが編集した一般情報です。健康や行動に関する判断は、必要に応じて獣医師や専門家へご相談ください。
参考情報(出典24件)
- 国際畜犬連盟(FCI):Dachshund(犬種標準 No.148)
- ジャパンケネルクラブ:ダックスフンド
- ジャパンケネルクラブ:犬種別犬籍登録頭数
- American Kennel Club:Dachshund
- Royal Kennel Club:Dachshund (Miniature Smooth Haired)
- Royal Kennel Club:Dachshund (Long Haired)
- Royal Kennel Club:IVDD Scheme for Dachshunds
- Packer ほか:DachsLife 2015: an investigation of lifestyle associations with the risk of intervertebral disc disease in Dachshunds(Canine Genetics and Epidemiology, 2016)
- Dachshund Breed Council(Dachshund Health UK):Health Priorities
- Dachshund Breed Council:IVDD Symptoms
- Dachshund Breed Council:Exercise
- Dachshund Breed Council:Jumping & Stairs
- Science for Animal Welfare(UFAW):Dachshund – Intervertebral Disc Disease
- Cornell University College of Veterinary Medicine:Intervertebral Disc Disease
- Merck Veterinary Manual:Disorders of the Spinal Column and Cord in Dogs
- VCA Animal Hospitals:Degenerative Disc Disease in Dogs
- VCA Animal Hospitals:Ear Infections in Dogs
- VCA Animal Hospitals:Cervical Intervertebral Disc Disease in Dogs
- Cornell University College of Veterinary Medicine:Managing seizures
- VCA Animal Hospitals:Epilepsy in Dogs
- Merck Veterinary Manual:Otitis Media and Interna (Middle and Inner Ear Infections) in Dogs
- U.S. Food and Drug Administration(FDA):Get the Facts about Pain Relievers for Pets
- World Small Animal Veterinary Association(WSAVA):Body Condition Score(Dogs)
- American Veterinary Society of Animal Behavior:Humane Dog Training Position Statement(2021年)




