白くてずんぐりした体型の子と、ゴールドに輝くスラっとした体型の子——同じゴールデンレトリバーなのに、ずいぶん見た目が違うと思ったことはありませんか?
実はゴールデンレトリバーには、イギリスで発展した「イングリッシュタイプ」と、アメリカで独自に改良された「アメリカンタイプ」の2つのタイプが存在します。日本で見かけるゴールデンレトリバーのほとんどはアメリカンタイプですが、近年はクリーム色のイングリッシュタイプの人気も高まってきています。
この記事では、イングリッシュタイプとアメリカンタイプの外見・性格・飼いやすさの違いから、自分に合ったタイプの選び方まで詳しく解説します。「どっちが自分に合うんだろう?」と迷っている方は、ぜひ参考にしてくださいね。
そもそもなぜ2タイプに分かれたの?ゴールデンレトリバーの歴史
ゴールデンレトリバーは、19世紀後半にスコットランドのツイードマウス卿によって作出された犬種です。より優秀な水鳥猟犬を求めて、ニューファンドランド系の犬にウェービーコーテッドレトリバーを交配し、さらにツイードウォータースパニエルやアイリッシュセッターなどをかけ合わせて誕生しました。
イギリスケネルクラブ(KC)で公認されたのは1903年ですが、それ以前の1890年代にはすでにアメリカへ輸入されていたと言われています。その後、アメリカではアメリカ人の好みに合わせた独自の改良が行われ、イギリスとは異なる特徴を持つタイプが生まれました。
「イングリッシュゴールデンレトリバー」「アメリカンゴールデンレトリバー」という呼び名は、毛色や体格の特徴に基づいて愛好家の間で使われる通称であり、犬種団体による正式な犬種分類ではありません。どちらも同じ「ゴールデンレトリバー」という一つの犬種です。
日本にゴールデンレトリバーが広まったきっかけは、1984年にアメリカンタイプのゴールデンレトリバーがジャパンケネルクラブ(JKC)の本部展で優勝したことでした。これをきっかけにアメリカから多くのゴールデンレトリバーが輸入されたため、日本ではアメリカンタイプが主流となっています。

イングリッシュタイプとアメリカンタイプの外見の違い
2つのタイプの最もわかりやすい違いは、外見にあります。並べて見ると「同じ犬種?」と驚くほど印象が異なることもありますよ。
体型・骨格の違い
イングリッシュタイプは、骨太で筋肉質なずんぐりとした体型が特徴です。骨量が豊かでがっしりしており、どこかマスティフを思わせるような重厚感があります。
一方、アメリカンタイプは細身でスタイリッシュな体型をしています。全体的にスリムな印象で、見た目にもスポーティな雰囲気を感じさせます。実際にはアメリカンタイプの方が大きく見えることもありますが、これは毛色による視覚的な効果もあるようです。
毛色の違い
毛色は、2つのタイプを見分ける最も簡単なポイントです。
- イングリッシュタイプ:白からクリーム色の「プラチナカラー」が特徴。ほとんど白に近い個体から、やわらかいクリーム色まで幅があります
- アメリカンタイプ:明るいゴールドからダークゴールド、ブラウンに近い色まで、輝くような金色の毛色が特徴です
イギリスのケネルクラブ(KC)では、薄いゴールドからクリームまでの色が認められていますが、レッドやマホガニーは認められていません。一方、アメリカンケネルクラブ(AKC)ではクリーム色は認められておらず、濃淡のあるゴールドが標準とされています。
顔立ち・マズルの違い
顔立ちにも明確な違いがあります。イングリッシュタイプは頭部が広く、丸く大きな瞳に丸みを帯びた短めのマズルが特徴で、目や鼻は黒いのが一般的です。耳の位置もやや低めについています。
アメリカンタイプはアーモンド型の目にやや長めのマズルが特徴で、目や鼻の色は茶色っぽい子が多い傾向があります。整ったシャープな印象を受ける顔立ちです。
被毛の質感の違い
毛色だけでなく、被毛の質感にも違いがあります。イングリッシュタイプの被毛はアメリカンタイプに比べて短めで、太く硬めのウェーブがかかった毛質です。一方、アメリカンタイプはストレートで柔らかく、ふわふわとした手触りが特徴。たてがみ部分が豊かで、ゴージャスな印象を与えます。
どちらもダブルコートなので抜け毛は多めですが、毛質の違いからお手入れの感覚は少し異なるかもしれませんね。
外見の違い一覧表
ここまでの外見の違いを、表にまとめました。
| イングリッシュタイプ | アメリカンタイプ | |
|---|---|---|
| 毛色 | 白〜クリーム(プラチナカラー) | ゴールド〜ダークゴールド |
| 体型 | 骨太・筋肉質・ずんぐり | 細身・スリム・スタイリッシュ |
| マズル | 短め・丸みがある | 長め・シャープ |
| 目の形 | 丸く大きい | アーモンド型 |
| 目・鼻の色 | 黒色 | 茶色系 |
| 耳の位置 | やや低め | 標準的 |
| 被毛の質感 | 短め・硬め・ウェーブ | 長め・柔らか・ストレート |
| 血統名 | KC(イギリスケネルクラブ) | AKC(アメリカンケネルクラブ) |
性格・気質の違い
温和で賢く人間が大好き——これはゴールデンレトリバー全体に共通する性格です。ただし、ブリーディングの方向性の違いから、タイプによって性格に若干の傾向の差が見られます。
イングリッシュタイプの性格
イングリッシュタイプは、アメリカンタイプと比較するとおとなしめで落ち着いた性格の子が多いと言われています。活発で無邪気な一面もありますが、全体的に穏やかな印象です。
イギリスでは現在もガンドッグ(猟犬)として分類され、実際に狩猟の現場で活躍する機会があるため、狩猟犬本来の落ち着きと忍耐力を重視したブリーディングが行われています。水鳥猟犬としての特性が特に強く残っており、水への順応性が高い子が多いのも特徴。水難救助犬として活躍する子もいるそうです。

アメリカンタイプの性格
アメリカンタイプはゴールデンレトリバーらしい優しさを持ちつつ、好奇心旺盛でやや活発な傾向があります。テンションが高くなりやすい子もいると言われており、元気いっぱいで遊び好きな印象です。
アメリカではスポーティングドッグとして登録され、人が大好きで訓練性が高いコンパニオンドッグとしての資質を引き出すブリーディングが行われてきました。人の役に立ちたいという「作業欲求」が強く、盲導犬、聴導犬、警察犬、セラピードッグなど、さまざまな分野で活躍しています。

性格の傾向にはタイプ差以上に個体差が大きいです。イングリッシュタイプでも元気いっぱいの子もいますし、アメリカンタイプでもおっとりした子はいます。実際に会って相性を確かめるのが一番ですよ。
ブリーディングの方向性の違い
2つのタイプの違いを理解するうえで押さえておきたいのが、ブリーディング(繁殖)の方向性の違いです。これが外見や性格の差を生み出している根本的な理由と言えます。
よく「イングリッシュタイプはアスリート系、アメリカンタイプはアイドル系」と表現されることがあります。
| イングリッシュタイプ | アメリカンタイプ | |
|---|---|---|
| 登録分類 | ガンドッグ(猟犬) | スポーティングドッグ |
| 重視されるポイント | 狩猟犬としての実用的な能力 | 家庭犬・ショードッグとしての資質 |
| ブリーディング傾向 | フィールド系(実猟重視) | ショー系(見た目・性格重視) |
イギリスでは現在も狩猟の現場で活躍する機会があるため、ゴールデンレトリバー本来の猟犬としての資質——落ち着き、忍耐力、水への適応力——を活かしたブリーディングが続けられています。
一方、アメリカでは狩猟の場が限られるため、人懐っこさ、訓練性の高さ、美しい外見といったコンパニオンドッグとしての資質が重視されてきました。ドッグショーでもアメリカンタイプが多く見られます。
ゴールデンレトリバーの基本情報
タイプの違いはありますが、基本的なスペックは共通している部分も多いです。ゴールデンレトリバー全体の基本情報を確認しておきましょう。
| 原産国 | イギリス(スコットランド) |
| 体高 | オス:56〜61cm / メス:51〜57cm |
| 体重 | オス:29.5〜34kg / メス:24.9〜29.5kg |
| 平均寿命 | 10〜13歳 |
| 被毛 | ダブルコート(長毛) |
| グループ | 第8グループ(レトリバー・フラッシング・ウォータードッグ) |
日本での流通事情と価格の違い
日本で飼われているゴールデンレトリバーのほとんどはアメリカンタイプです。これは前述の通り、1984年以降にアメリカから大量に輸入された歴史的な経緯によるものです。テレビCMに登場するゴールデンレトリバーも、アメリカンタイプの子がほとんどですよね。
価格の目安
価格はタイプによって差があります。
- アメリカンタイプ:10万〜30万円程度。ブリーダーの数も多く、ペットショップでも流通しているため比較的手に入りやすい
- イングリッシュタイプ:30万〜50万円以上になることも。日本国内での流通が少なく希少性が高いため、価格は高めの傾向
イングリッシュタイプを迎えたい場合は、イングリッシュタイプを専門に扱うブリーダーを探す必要があります。一般的なペットショップではなかなかお目にかかれないため、事前のリサーチが大切です。
どちらのタイプか知りたい場合は血統書で確認できます。祖先犬の名前に「KC」と付いていればイギリス系、「AKC」と付いていればアメリカ系と判断できますよ。
飼う上での共通の注意点
タイプに関わらず、ゴールデンレトリバーを飼ううえで知っておきたい共通のポイントがあります。
運動量の確保
1日2回、各30〜60分程度の散歩が理想的。ボール遊びやフリスビー、水遊びなど、思い切り体を動かせる時間も設けてあげましょう。
ゴールデンレトリバーは非常に活動的な犬種です。運動不足はストレスの原因となり、破壊行動や自傷行為につながることもあります。とくにアメリカンタイプは活発な傾向があるため、しっかり運動させてあげることが大切です。
被毛のお手入れ
ダブルコートのゴールデンレトリバーは、抜け毛が多い犬種です。ブラッシングは毎日行うのが理想的で、シャンプーは月1回程度が目安。換毛期にはさらにこまめなケアが必要になります。
トリミングは基本的に不要ですが、足の裏やおしり周りなど、衛生上必要な部分のカットは定期的に行いましょう。また、垂れ耳で蒸れやすいため、外耳炎の予防として耳のケアも忘れずに。
かかりやすい病気
ゴールデンレトリバーは遺伝的な要因や体の構造から、いくつかの病気にかかりやすいと言われています。定期的な健康診断で早期発見を心がけましょう。
- 股関節形成不全:大型犬に多く見られる関節疾患。遺伝的要因が大きく、歩行障害や痛みの原因に。適正体重の維持が予防のカギです
- 悪性腫瘍(がん):ゴールデンレトリバーは全犬種の中でもがんの発症率がトップクラス。血管肉腫やリンパ腫などが多く報告されています。7歳以降は半年〜3ヶ月に1回の健康診断がおすすめです
- 胃捻転:食後すぐの運動や一気食いが原因で胃がねじれる緊急疾患。食事は少量ずつ分けて与え、食後は安静にさせましょう
- 外耳炎:垂れ耳で蒸れやすいため、細菌が繁殖しやすい。定期的な耳の清掃が予防につながります
- 皮膚疾患:アトピー性皮膚炎や膿皮症にかかりやすい傾向があります。シャンプー後はしっかり乾かすことが大切です
イングリッシュ?アメリカン?自分に合ったタイプの選び方
どちらのタイプも魅力にあふれていて、選ぶのに迷ってしまいますよね。ここでは、ライフスタイルや好みに合わせた選び方のヒントをご紹介します。
イングリッシュタイプが向いている人
- 穏やかで落ち着いた犬を求めている方
- 小さな子どもがいる家庭
- 白〜クリーム色の美しい毛色に惹かれる方
- がっしりとした骨太の体型が好みの方
- 水遊びを一緒に楽しみたい方

アメリカンタイプが向いている人
- 元気で活発な犬と一緒に遊びたい方
- ゴールドに輝く美しい毛色に惹かれる方
- スリムでスタイリッシュな体型が好みの方
- ドッグスポーツやアジリティに挑戦したい方
- 初めてゴールデンレトリバーを飼う方(情報や選択肢が豊富)

どちらのタイプを選ぶにしても、最終的にはその子自身の性格や相性が一番大切です。タイプの傾向はあくまで参考として、実際に子犬に会って「この子だ!」と思える出会いを大切にしてくださいね。
ゴールデンレトリバーに関するよくある質問
- イングリッシュタイプとアメリカンタイプは別犬種なの?
-
いいえ、別犬種ではありません。どちらも同じ「ゴールデンレトリバー」という一つの犬種です。ブリーディングの方向性の違いから外見や性格に傾向の差が生まれましたが、犬種団体による正式な分類ではなく、愛好家の間で使われる通称です。
- 日本でイングリッシュタイプは手に入る?
-
手に入りますが、アメリカンタイプに比べると流通量は少なめです。イングリッシュタイプを専門に扱うブリーダーを探すのがおすすめ。ペットショップではほとんど見かけないため、事前にしっかりリサーチしましょう。価格はアメリカンタイプより高くなる傾向があります。
- どちらのタイプが飼いやすい?
-
一般的に、イングリッシュタイプの方が穏やかでおとなしい傾向があるため、初心者や小さなお子さんがいる家庭には向いていると言われることがあります。ただし、個体差が大きいので一概には言えません。アメリカンタイプも賢く訓練性が高いので、しっかりしつけれれば飼いやすい犬種です。
- イングリッシュタイプとアメリカンタイプのミックスはいる?
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はい、両タイプの血統が混ざった子も存在します。日本では純粋なイングリッシュタイプだけでなく、両タイプのミックスも見られます。どちらの特徴が強く出るかは個体によって異なりますよ。
- マンションでゴールデンレトリバーは飼える?
-
大型犬可のマンションであれば飼育は可能です。ただし、ゴールデンレトリバーは十分な運動量が必要な犬種のため、毎日しっかり散歩や運動の時間を確保できることが条件です。タイプに関わらず、広い運動スペースへのアクセスがあるとより理想的ですね。
まとめ
ゴールデンレトリバーのイングリッシュタイプとアメリカンタイプの違いについて詳しく紹介してきました。最後に、この記事のポイントをおさらいしましょう。
- ゴールデンレトリバーには「イングリッシュタイプ」と「アメリカンタイプ」の2タイプがある(正式な犬種分類ではなく通称)
- イングリッシュタイプは白〜クリーム色、骨太でずんぐり、穏やかな性格の傾向
- アメリカンタイプはゴールド色、スリムでスタイリッシュ、活発で好奇心旺盛な傾向
- 日本ではアメリカンタイプが主流で、イングリッシュタイプは流通が少なく価格も高め
- 性格の違いは個体差が大きいので、実際に会って相性を確かめることが大切
- どちらのタイプも、十分な運動量の確保と定期的な健康診断が重要
どちらのタイプも、人間が大好きで温和な性格という、ゴールデンレトリバーの素晴らしい資質は共通しています。見た目の好みやライフスタイルに合わせて、あなたにぴったりの子を見つけてくださいね。
ゴールデンレトリバーとの暮らしを検討している方は、この記事を参考に、素敵な出会いを見つけてください。

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