この記事の要点
ゴールデンレトリバーは、猟で鳥を運ぶ犬として生まれた、友好的で人と働くのが好きな大型犬です。関節の病気やがんなどが多い犬種でもあります。これから迎える人も、いま一緒に暮らしている人も、毎日の運動と体重の管理、体をなでての確認、年齢に合った健康診断を続けることが、長く元気に過ごす土台になります。
歯ぐきが白っぽい、急にぐったりする・倒れる、お腹が急にふくらんで吐こうとしても何も出ないときは、すぐに動物病院へ連絡してください。くわしくは記事の後半の「受診の目安」にまとめています。
この記事で分かること:大きさ・寿命と性格/運動・抜け毛・しつけのポイント/気をつけたい病気と6歳以降の見守り方、受診の目安
2026年9月更新|犬種団体や大学などの資料をもとにまとめています
やさしい表情と金色の毛。ゴールデンレトリバーは「家族にやさしい犬」の代表のように語られます。ただ、若いうちは元気いっぱいで、大きな体で飛びつくこともあり、毛もよく抜けます。この記事では、大きさと寿命、性格、毎日の暮らし方、気をつけたい病気と年齢に合わせた見守り方までをまとめます。
ゴールデンレトリバーの基本データ
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 原産 | イギリス |
| もともとの役割 | 猟で撃ち落とされた鳥を探して運ぶ猟犬 |
| 肩までの高さ | オス56〜61cm、メス51〜56cm |
| 体重 | オス約29.5〜34kg、メス約25〜29.5kg |
| 寿命 | 10〜13年ほど |
| 毛 | 水をはじく下毛と、まっすぐか波打つ上毛の二重構造。飾り毛がある |
| 毛色 | 濃淡のある金色からクリーム色 |
| 運動 | 多め(イギリスのケネルクラブは1日2時間以上が目安) |
| 気をつけたい病気 | 関節、がん、皮膚、ホルモン、目、心臓、太りすぎ |
肩までの高さは、ジャパンケネルクラブも使う国際的な基準の数字です。体重は、体重の決まりがあるアメリカの基準の数字で、アメリカの基準は高さもやや高めです。どちらも犬種の理想の姿を示すもので、健康な体重の目安そのものではありません。その子にちょうどよい体重は、体つきを見ながら獣医師と決めましょう。寿命も目安で、1頭ごとの寿命を約束する数字ではありません。
「イングリッシュ(英国系)」「アメリカン(米国系)」と呼ばれるタイプは、別の犬種ではなく、同じゴールデンレトリバーの中での系統や見た目の傾向です。毛色や体つきの違いと、選ぶときに大切なことは、ゴールデンレトリバーの英国系・米国系の違いで詳しく紹介しています。
性格は友好的で、人と働くのが好き
ゴールデンレトリバーは、1800年代半ばのイギリスで、トゥイードマウス卿という貴族のもとで猟の手伝いをする犬として作られたとされています。撃ち落とされた鳥をくわえて人のもとへ運ぶ仕事のために、人の合図をよく聞き、物を運ぶのが好きな性質が育てられました。犬種の基準では、素直で賢く、やさしく友好的で、自信に満ちた犬とされています。今も盲導犬や捜索救助犬として活躍しています。
一方で、人を喜ばせたい気持ちが強く、はしゃぎすぎることもあります。十分に体を動かしていれば家の中では落ち着いて過ごせますが、運動が足りないと、そのエネルギーがいたずらや飛びつきに向かうことがあります。性格の出方には個体差があり、子犬のころの経験や家での過ごし方でも変わります。
向いている家庭
- 毎日、散歩と遊びの時間をたっぷりとれる
- 30kg前後の犬を、通院や災害のときにも運んだり支えたりできる
- 抜け毛の掃除とブラッシング、ほめて教えるしつけを続けられる
よくある誤解
- 「おとなしい犬種だから、しつけは簡単」
覚えは早い犬ですが、若いうちは力も元気もあります。飛びつきや引っぱりを放っておくと、大きくなってから家族が転ぶ原因になります。 - 「子どもにやさしいから、一緒にしておいても安心」
子どもの遊び相手に向いた犬とされますが、犬種だけで安全は決まりません。小さな子どもと過ごすときは、大人が近くで見守りましょう。 - 「長く歩かせれば満足する」
距離だけでなく、においを探す、おもちゃを持ってくるといった、頭と鼻と口を使う遊びも大切です。
運動・抜け毛・しつけのポイント
運動
毎日の散歩に加えて、ジョギングやハイキング、ボール遊びなどで体をしっかり動かす時間が必要です。泳ぐことや物を持ってくる遊びが好きな子が多いのも、この犬種らしいところです。ただし、成長中の子犬、シニア犬、関節に病気のある子に同じ量は合いません。年齢や体つきに合った運動の内容は、獣医師と相談して決めましょう。
抜け毛とお手入れ
抜け毛は平均よりやや多めで、毛が生え替わる時期(換毛期)にはとくに増えます。ブラッシングは週2回ほどを基本にし、換毛期は回数を増やしましょう。長い飾り毛の部分は毛が絡みやすいことがあるので、表面だけでなく根元までとかします。泳いだりシャンプーしたりしたあとは、皮膚まで乾かしておくと安心です。
しつけ
人の合図をよく聞く犬なので、ほめて教えるしつけによく応えます。子犬のうちから、4本の足を床につけてあいさつする、くわえた物を「ちょうだい」で離す、呼んだら戻る、マットで休む、といった練習を短く重ねましょう。物をくわえて逃げたときは追いかけず、おやつやおもちゃと交換します。大声で叱るなど罰を使う家庭の犬ほど、不安や攻撃的な行動が多いという調査があり、罰を使うやり方はすすめられていません。
気をつけたい病気
元気に長生きする子もたくさんいますが、ゴールデンレトリバーには次のような病気が知られています。すべての子がなるわけではありません。子犬を迎えるときは、親犬が股関節・肘・目・心臓の検査を受けているかを確かめておくと、判断の材料になります(検査に通った親から生まれても、病気にならない保証ではありません)。
関節の形の病気
成長の途中で、股関節や肘の関節の形がうまくできず、痛みや関節炎につながる病気です(股関節形成不全・肘関節形成不全)。大型犬に多く、ゴールデンもなりやすい犬種の一つです。股関節では、座った姿勢から立ちにくい、階段を嫌がる、後ろ足がふらつく、太ももの筋肉が落ちるといった様子が見られます。肘では、前足をかばう軽い歩き方が長く続くことがあります。
生まれ持った要素が大きい病気ですが、食べすぎや体重の増えすぎも悪化に関わります。ほかの大型犬の研究では、子犬に好きなだけ食べさせたり太らせたりすると、股関節の病気が起こりやすくなりました。子犬のときは大型犬の成長期用のフードを使い、細めの体型を保ちましょう。
がん
ゴールデンは、がんが多い犬種として知られています。アメリカで飼い主に聞いた1998年の調査では、亡くなった420頭のうち約6割ががんによるもので、多かったのは血管肉腫やリンパ腫などでした。アメリカで約3,000頭を生涯にわたって追いかけている研究では、血管肉腫は6歳を過ぎると大きく増え、8歳ごろには最も多いがんになっていました。
- 血管肉腫:血管のもとになる細胞のがんです。お腹の中にある血液をためる臓器(脾臓)や心臓にできやすく、8〜10歳ごろに多く見られます。外から触っても分かりにくく、お腹の中で破れて出血すると、歯ぐきが白っぽくなる、急にぐったりする、倒れる、息が速くなるといった様子が突然あらわれます。このときは、すぐに動物病院へ連絡してください。
- リンパ腫:リンパ節(体の表面から触れる、豆のような小さなふくらみ)が腫れることで気づくことが多いがんです。腫れると、あごの下、わきの下、脚の付け根、膝の裏などで触れるようになります。はじめは元気なままのことも多い病気です。
数字を見ると不安になりますが、飼い主にできることもあります。ふだんから体をなでて、しこりや腫れがないか触っておくこと。しこりを見つけたら、大きさと場所を記録して獣医師に見てもらうこと。血管肉腫のように外から分かりにくいがんもあるので、定期的な健康診断で、どんな検査を受けるとよいかを獣医師と相談しておきましょう(あとの「6歳を過ぎたら見直したいこと」も参考にしてください)。
皮膚のかゆみ
ゴールデンは、環境の中のものに反応して皮膚がかゆくなるアレルギー(アトピー性皮膚炎)になりやすい犬種の一つです。多くは生後6か月〜3歳で始まり、足先、顔、耳、前足、お腹がかゆくなりやすい場所です。かき壊したところに細菌などの感染が重なることもあります。かゆがる場所と始まった時期を記録しておくと、診察で伝えやすくなります。
ホルモンの病気
元気や毛の量に関わる甲状腺ホルモンが足りなくなる病気で、正式には甲状腺機能低下症といいます。ゴールデンはなりやすい犬種に挙げられていて、4〜10歳に多く見られます。元気がない、運動を嫌がる、太ってきた、体の両側やしっぽの毛が薄くなるといった変化が見られます。「年のせい」と決めつけず、血液検査で調べてもらいましょう。
目の病気
ゴールデンに特有の目の病気に、目の中の炎症が長く続く病気(色素性ぶどう膜炎)があります。中年からシニア期に見つかることが多く、進むと、目の中の圧が上がって痛みや視力の低下を起こす病気(緑内障)や、失明につながることがあります。目の赤み、涙が増える、目をこする・前足でかくといった様子が出るころには進んでいることもあるため、犬種クラブは2〜3歳ごろから毎年、目の専門の獣医師による検査をすすめています。これまで受けたことがない子も、かかりつけの獣医師に相談してみましょう。
心臓の病気
ゴールデンで最も多い生まれつきの心臓の病気は、心臓から全身へ血液を送り出す出口が狭くなっている病気(大動脈弁下狭窄症)です。興奮したときに倒れる・気を失う、疲れやすいといった様子が出ることがあり、突然亡くなることもあります。重くても症状が目立たないことがあるので、健康診断では心臓の音を聴いてもらいましょう。聴診器で心臓の異常な音(心雑音)を指摘されたら、心臓の専門の獣医師での検査を相談しましょう。
太りすぎと筋肉の衰え
ゴールデンは太りやすい犬種です。太りすぎはほぼすべての臓器に影響し、関節炎を悪化させ、寿命を縮めることにもつながります。ただ、体重計の数字だけでは分からないこともあります。体重が同じでも、脂肪が増えて筋肉が減っていることがあるからです。
そこで、太り具合と筋肉の付き具合を分けて見ます。ちょうどよい太り具合は、あばら骨に余分な脂肪がなく触ると分かる、上から見てあばら骨の後ろにくびれがある、横から見てお腹が引き締まっている状態です。筋肉の付き具合は、背骨、肩甲骨、頭、腰の骨のまわりを見て触って確かめます。太っていても筋肉は落ちている、ということもあります。動物病院では、それぞれ「BCS」「MCS」という目安で評価してもらえます。
- 体重と、同じ角度で撮った上からと横からの写真
- あばら骨・腰のくびれ(太り具合)と、背骨・肩・腰の骨まわり(筋肉)の触った感じ
- 立ち上がりと歩き方の10秒ほどの動画(横から)
- かゆがる・赤い・においがする場所と、始まった時期
- ごはん・おやつの実際の量と、散歩の量
月に1回ほど記録して、健康診断のときに見せましょう。自分で点数を決めきるより、獣医師の評価と合わせて、その子の目標体重と食事量を決めるのが確実です。
6歳を過ぎたら見直したいこと
血管肉腫は6歳を過ぎると大きく増え、目の炎症も中年から見つかることが多い病気です。いま6歳前後の子と暮らしている方は、次のことを見直しておくと安心です。アメリカの動物病院協会は、寿命のおよそ最後の4分の1をシニア期とし、シニア期に入ったら、年2回以上の健康診断と、定期的な血液検査・尿検査をすすめています。何歳からシニア期にあたるかは犬種や体の大きさで変わるため、その子の場合はいつからかを獣医師に確認しましょう。
- 健康診断の間隔と、受ける検査(血液検査・尿検査など)を獣医師と相談する
- 毎年の目の検査を受けているか確かめ、まだなら相談する
- ブラッシングのついでに、あごの下・わきの下・膝の裏などのしこりや腫れを触って確かめる
- 月1回、体重・写真・歩き方の動画を記録する(家での動画は、痛みや動きの変化を見てもらう助けになります)
- 元気や毛の量の変化を「年のせい」で片づけない
受診の目安
- 歯ぐきが白っぽい、急にぐったりする、倒れた・気を失った
- 安静にしているのに息が速い、息が苦しそう
- お腹が急にふくらむ、吐こうとしても何も出ない、よだれが多い、落ち着きなく立ったり伸びをしたりする
- 目を痛がる・しょぼしょぼさせる、目が白く濁った、目が大きくなったように見える、急に見えにくそう
- 急に立てない・歩けない、脚をまったく着かないほど痛がる
- 目が赤い、涙が増えた、目をこする・前足でかく
- 足を引きずる、立ち上がりや階段をいつもより嫌がる
- あごの下やわきの下、膝の裏など何か所も同時に腫れている、しこりが急に大きくなった・出血している
- 強くかゆがり、皮膚が赤くただれている
- 小さなしこりを1つ見つけた(大きさと場所を記録しておく)
- 元気がない、太りやすくなった、毛が薄くなってきたといった変化が、ゆっくり続いている(急にぐったりしたときは、すぐに連絡)
- 換毛期に抜け毛が増えたが、皮膚に赤みやかゆみ、毛の薄い部分はない
- 体重が少し増えたが、元気・食欲はいつもどおり(ごはんとおやつの量を見直し、次の健康診断で体つきを相談)
受診までの過ごし方
- 無理に歩かせず、静かな場所で休ませる
- 人用の痛み止めは与えない(犬では胃の出血や腎臓・肝臓の障害を起こすことがあります)
- 様子を動画に残せると診察の助けになるが、撮影のために受診を遅らせない
お腹が急にふくらむ病気(胃がふくらんでねじれる、胃拡張・胃捻転)は、大型で胸の深い犬に起こりやすく、時間とともに命に関わる危険が高まります。見分け方は犬のお腹が急に膨らんだときの緊急サインで詳しく紹介しています。迷ったときは、まず動物病院に電話で相談してください。
よくある疑問
- 初めて犬を飼う家庭でも大丈夫ですか?
-
人の合図をよく聞き、覚えの早い犬です。ただ、大型犬の力、たっぷりの運動、抜け毛、若いころの元気さに向き合う準備が要ります。子犬のしつけ教室やトレーナーの力を早めに借りられると進めやすくなります。
- オスとメスで違いはありますか?
-
体の大きさには差があり、犬種の基準ではオスのほうが肩までの高さが4〜5cmほど高くなっています。体重の決まりがあるアメリカの基準では、体重もオスのほうが重めです。性格は性別だけで決まるものではありません。迎える前に、その子や親犬の様子をよく見ておきましょう。
この記事は公開情報をもとにWANLABが編集した一般情報です。健康や行動に関する判断は、必要に応じて獣医師や専門家へご相談ください。
参考情報(出典30件)
- 国際畜犬連盟(FCI):Golden Retriever(犬種標準 No.111)
- ジャパンケネルクラブ:ゴールデン・レトリーバー
- American Kennel Club:Official Standard of the Golden Retriever
- American Kennel Club:Golden Retriever
- Royal Kennel Club:Retriever (Golden)
- VCA Animal Hospitals:Golden Retriever
- Golden Retriever Club of America:Health & Research
- Golden Retriever Club of America:Health Screenings for the Parents of a Litter
- Golden Retriever Club of America:Heart Disease – Subvalvular Aortic Stenosis (SAS)
- Golden Retriever Club of America:Pigmentary Uveitis Alert for Breeders, Potential Buyers, and Owners(2024年)
- Labadie ほか:Cohort profile: The Golden Retriever Lifetime Study(PLoS ONE, 2022)
- Morris Animal Foundation:Golden Retriever Lifetime Study
- Cornell University College of Veterinary Medicine:Hemangiosarcoma in dogs
- American College of Veterinary Surgeons:Splenic Masses in Dogs
- VCA Animal Hospitals:Lymphoma in Dogs
- VCA Animal Hospitals:Hip Dysplasia in Dogs
- American College of Veterinary Surgeons:Canine Hip Dysplasia
- Orthopedic Foundation for Animals:Elbow Dysplasia
- Merck Veterinary Manual:Allergies in Dogs
- Merck Veterinary Manual:Hypothyroidism in Animals
- American College of Veterinary Surgeons:Gastric Dilatation-Volvulus
- Cornell University College of Veterinary Medicine:Obesity and weight loss in dogs
- World Small Animal Veterinary Association(WSAVA):Body Condition Score(Dogs)
- World Small Animal Veterinary Association(WSAVA):Muscle Condition Score Chart for Dogs
- Cornell University College of Veterinary Medicine:Glaucoma
- Merck Veterinary Manual:Toxicoses From Human Analgesics in Animals
- American Animal Hospital Association(AAHA):2019 Canine Life Stage Guidelines
- American Animal Hospital Association(AAHA):Canine Life Stage – Senior
- American Animal Hospital Association(AAHA):2023 Senior Care Guidelines – Evaluating the Healthy Senior Pet
- American Veterinary Society of Animal Behavior:Humane Dog Training Position Statement(2021年)




