この記事の要点
犬に与えてはいけない代表は、ネギ類、ぶどう・レーズン、チョコレート、キシリトール、マカダミアナッツです。食べたと分かったら、元気に見えても家で吐かせず、すぐに動物病院へ電話してください。
この記事で分かること:危険な食べ物と、報告されている量の目安/食べてしまったときの動き方/パンや牛乳など、迷いやすい食べ物の判定
2026年9月更新|獣医療機関や大学などの資料をもとにまとめています
この記事は公開情報をもとにWANLABが編集した一般情報です。健康や行動に関する判断は、必要に応じて獣医師や専門家へご相談ください。
いま食べてしまったら、次の3つを。
- 家で吐かせない(塩、のどに指、オキシドールなどは使わない)
- すぐに動物病院へ電話する(元気に見えても。夜間・休日は救急対応の病院へ)
- 電話しながら、パッケージや食べ残しを手元に(食べた量と時刻も伝える)
ダメです。ネギ類、ぶどう・レーズン、チョコレート、キシリトール、マカダミアナッツは、犬に少しでも与えないでください。
テーブルのチョコレートの箱が床に落ちていた。ごみ箱から玉ねぎの皮が出ていた。そんなときにまず知りたいのは、「どれくらい危ないのか」「今すぐ動くべきか」ではないでしょうか。
この記事では、中毒を起こす食べ物と、中毒ではないけれど体調をくずしやすい食べ物を分けて紹介します。そのうえで、食べてしまったときに何を急ぐべきかをまとめます。
特に危険な5つと、量の目安
表の「量の目安」は、犬に症状が出たと報告されている量や、獣医学の資料が示す目安です。例は、体重5kgの犬で計算しています。これより少なければ安全、という意味ではありません。体の大きさ、年齢、持病、その子の体質によって、影響は大きく変わります。
| 食べ物 | 体に起きること | 量の目安(5kgの犬の例) |
|---|---|---|
| ネギ類(玉ねぎ、長ねぎ、にんにく、ニラなど) | 赤血球が壊れて貧血に。貧血は3〜5日ほどたってから目立つ | 生の玉ねぎで体重1kgあたり15〜30g(5kgなら75〜150g)。にんにくは玉ねぎの3〜5倍強い |
| ぶどう・レーズン | 腎臓が急に働かなくなる。1〜3日のうちに悪化 | 体重4.5kgあたり1粒を超えると危険になりうる(5kgなら2粒で超える)。1粒でも安全とは言えない |
| チョコレート・ココア | 心臓や神経が興奮しすぎる。多くは6〜12時間で症状 | 種類で大きく違う(下の表) |
| キシリトール | 血糖が急に下がる。早ければ10〜60分で症状。量が多いと肝臓が傷む | 体重1kgあたり約0.1gを超えると低血糖、約0.5gを超えると肝臓の障害(5kgなら約0.5g、約2.5g) |
| マカダミアナッツ | 力が抜ける(特に後ろ足)、ふらつく、震える、吐く、熱が出る。12時間以内に症状 | 体重1kgあたり2.4gで症状の報告(5kgなら約12g) |
ネギ類、ぶどう、キシリトールは、食べた直後に元気でも、あとから具合が悪くなることがあります。「その場で平気だった」「前に食べても大丈夫だった」は、安全の理由になりません。
食べてしまったときの動き方
- ぶどう・レーズン、キシリトール入りの物、チョコレート・ココア、マカダミアナッツを口にした(元気に見えても)
- ネギ類や、ネギ類が入った料理を食べた(量が少なくても、元気に見えても)
- コーヒー豆、エナジードリンク、カフェインの錠剤など、カフェインの多い物を口にした
- 発酵中のパン生地や、お酒を口にした
- 塩やしょうゆなど、塩分の多い物をたくさん食べた
- 何を食べたか分からないが、食べたかもしれない(人の薬やガムの可能性もある)
- けいれんしている、ぐったりしている、ふらついて立てない
- 何度も吐く、吐こうとしても吐けない、お腹がふくれて苦しそう
- 歯ぐきが白っぽい・黄色っぽい、おしっこが赤っぽい
- 息が荒い、落ち着きがなく興奮している、体が震えている
- 骨を飲み込んだが、今は元気(まず電話で指示を受ける)
- 脂っこいものや乳製品を食べたあと、下痢が続いている
骨や脂っこいものを食べたあとに、よだれが多い、吐こうとする、何度も吐く、お腹を痛がる、血便が出る、うんちが出ない、ぐったりしているといった様子があれば、すぐに連絡してください。串ごと飲み込んだときや、大きな骨・とがった骨のときも、すぐに連絡しましょう。
- 焼いたプレーンなパンを、ひとかけら食べただけで元気(レーズン、ナッツ、チョコ、ガーリック、キシリトールが入っていないと確かめられる場合)
- 牛乳を少しなめただけで、吐いたり下痢をしたりしていない
様子を見る場合も、その日は食欲、うんち、元気さを見ておきましょう。吐く、下痢が続くなど、いつもと違う様子があれば連絡してください。子犬、体の小さな犬、シニア犬、持病がある犬は、影響が大きく出やすいので、早めに相談すると安心です。迷ったときは、まず動物病院に電話で相談してください。
家で吐かせない
家で吐かせないでください。吐かせるかどうか、どの方法を使うかは、獣医師が決めることです。
- 塩を飲ませる:血液中の塩分が高くなりすぎ、ふらつき、震え、けいれん、意識がなくなるといった状態を招くことがあります。命に関わることもあります。
- のどに指や物を入れる:犬は人と同じようには吐けず、のどを傷つけるおそれがあります。かまれることもあります。
- 牛乳を飲ませる:吐かせる効果はありません。
- 油を飲ませる:脂っぽい便や膵炎(すい臓の炎症)のきっかけになることがあります。吐いたときに肺に入ると、肺炎を起こすこともあります。
- オキシドール(過酸化水素水):獣医師の指示がないまま使わないでください。
電話で伝えること
- 何を食べたか(商品名。パッケージや成分表示を手元に)
- どれくらい食べたか(減った量から、おおよそでよい)
- いつ食べたか(分からなければ、最後に無事を確かめた時刻)
- 犬の体重、年齢、持病、飲んでいる薬
- 今の様子(吐いた、下痢、ふらつきなど)
受診するときは、パッケージや食べ残し、吐いたものを袋に入れて持っていくと役立ちます。散歩中の拾い食いで何を食べたか分からないときは、犬の拾い食いで注意したい症状も参考にしてください。
危険な理由
ネギ類
ネギ類に含まれる成分が、血液の中の赤血球を傷つけて壊し、貧血を起こします。吐く、下痢などの症状は早く出ることがあります。元気がない、歯ぐきが白い、おしっこが赤っぽいといった貧血の症状は、3〜5日ほどたってから目立つことが多いとされています。
生でも、加熱しても、乾燥させても、粉末にしても危険です。乾燥や粉末のものは、水分が抜けた分だけ濃くなっています。カレー、ハンバーグ、すき焼き、餃子、スープの素、焼き肉のたれなど、人の料理にはネギ類が形を変えて入っていることがよくあります。
柴犬や秋田犬など日本の犬種は、ネギ類の影響を受けやすいとされています。一部の柴犬には、玉ねぎで赤血球が傷みやすい体質の子がいることが、少ない頭数の研究で示されています。ただし、洋犬なら安心というわけではありません。
犬用おやつの原材料にある少量のガーリックは、害になりにくいとする資料があります。ただし、ガーリックのサプリメントや粉末をたくさん食べたときは別です。気になるときや持病があるときは、かかりつけの獣医師に相談しましょう。
ぶどう・レーズン
ぶどうやレーズンを食べた犬で、腎臓が急に働かなくなる例が報告されています。原因は、ぶどうに含まれる「酒石酸(しゅせきさん)」という説が有力ですが、まだ確定ではありません。含まれる量はぶどうによって大きく違うため、何粒までなら大丈夫とは言えません。
レーズンにも、ぶどうと同じ1粒単位で危険の目安が示されています。小さい分、一度にたくさんの粒を食べやすいので注意しましょう。
チョコレート
チョコレートには、テオブロミンとカフェインという、心臓や神経を興奮させる成分が含まれています。犬はこの成分を体の外に出すのが遅く、重いときは症状が3日ほど続くこともあります。色が濃く、苦いチョコレートほど危険が大きくなります。
| 種類 | 1gあたりの成分量 | 5kgの犬が20g食べたとき(体重1kgあたり) |
|---|---|---|
| ココアパウダー | 約28.5mg | 約114mg |
| 製菓用の無糖チョコレート | 約15.5mg | 約62mg |
| ダーク・セミスイート | 約5.3〜5.6mg | 約21〜22mg |
| ミルクチョコレート | 約2.3mg | 約9mg |
| ホワイトチョコレート | 約0.04mg | ごくわずか |
成分量は、テオブロミンとカフェインを合わせた代表的な値で、製品によって違います。体重1kgあたり約20mgで吐く・下痢などの軽い症状、40〜50mgで心臓への影響、60mg以上でけいれんが起こりうるとされています。
ミルクチョコレートも安心はできません。5kgの犬なら、約45gで軽い症状が出うる量(体重1kgあたり約21mg)、約90gで心臓に影響が出うる量(約41mg)に届きます。ホワイトチョコレートは成分はごくわずかですが、脂肪が多いため、膵炎のきっかけになることがあります。
キシリトール
キシリトールは、犬の体でインスリン(血糖を下げるホルモン)を急にたくさん出させ、低血糖を起こします。早ければ10〜60分で症状が出ますが、半日以上たってから出ることもあります。量が多いと、1〜2日以上たってから肝臓が傷むこともあります。人には害の少ない甘味料ですが、犬では少量でも危険です。
ガムのほか、シュガーレスのあめやミント、低糖質のお菓子、一部のピーナッツバター、歯みがき粉、かんで飲むサプリメント、液体の薬などにも使われています。
マカダミアナッツ
なぜ症状が出るのかは、まだ分かっていません。多くは12〜48時間ほどで治まり、命に関わることは少ないとされています。
それでも「すぐ連絡」に入れているのは、家では見分けがつきにくいからです。チョコレートがけのナッツやお菓子なら、チョコレートの中毒が重なります。ふらつきや震えは、ほかの中毒でも出る症状です。何をどれだけ食べたかを伝えて、獣医師の判断をあおぎましょう。
カフェイン・お酒・パン生地
コーヒーやお茶、エナジードリンクに含まれるカフェインは、チョコレートと同じような症状を起こします。コーヒー豆やカフェインの錠剤なども同じです。お酒は、吐く、ふらつく、呼吸が苦しくなるといった中毒を起こすことがあります。
焼く前の発酵中のパン生地は、胃の中でふくらみ続けます。発酵でできたアルコールによって、中毒を起こすこともあります。お腹がふくれる、吐こうとしても吐けない、ふらつくといった様子があれば、すぐに連絡してください。
迷いやすい食べ物の判定
パンのように中身で判定が変わるものや、中毒ではなくても体調をくずしたり、けがにつながったりする食べ物です。
| 食べ物 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 焼いたプレーンなパン | 少しならよい | 少量なら問題は起きにくい。ただしカロリーが高く、太る原因になる |
| レーズン・チョコ・ガーリック・ナッツ・キシリトール入りのパン | ダメ | 入っている具材が危険 |
| 骨(鶏の骨など) | 与えない | 消化管を傷つけたり、詰まったりする。手術が必要になることも |
| 脂身・揚げ物・ナッツ類 | 与えない | 吐く・下痢、膵炎のきっかけになることがある(マカダミアナッツは中毒。上の表) |
| 牛乳・乳製品 | 控える | 乳糖を分解しにくく、下痢をしやすい |
| 塩分の多い食べ物 | 控える | のどが渇く、おしっこが増える。塩そのものなどをたくさん食べたときは、すぐ連絡 |
| アボカド | 与えない | 種を飲み込むと腸に詰まることがある |
アボカドは、アメリカの動物中毒の相談窓口が犬や猫には毒性がないとしている一方、栃木県獣医師会は、多く食べると吐く・下痢などの胃腸の炎症や、死亡の恐れがあるとしています。どちらにしても、与える理由はありません。
パンは、中身と生地しだい
何も入っていない焼いたパンなら、少し食べても大きな問題は起きにくいとされています。危ないのは、レーズンパン、チョコ入りのパン、ガーリックトースト、キシリトールを使った低糖質パンなど、危険な具材が入ったものです。焼く前の発酵中の生地は、上で紹介したとおり、すぐに連絡が必要です。
今日からの備え
- 夜間・休日に対応してくれる動物病院の連絡先を、スマホに登録しておく
- キシリトール入りのガムやお菓子、歯みがき粉は、犬の届かない扉つきの場所にしまう
- 人の料理やおやつを分けない。家族や来客にも伝えておく
- ごみ箱はふたつきにするか、犬が入れない場所に置く
- チョコレートやぶどう、薬を、テーブルや低い棚に置きっぱなしにしない
かばんやキッチンの置き方など、犬がたどり着く道を断つ工夫は、犬の誤飲を防ぐ部屋づくりで紹介しています。
参考情報(出典19件)
- Merck Veterinary Manual:Garlic and Onion (Allium spp) Toxicosis in Animals
- Merck Veterinary Manual:Grape, Raisin, and Tamarind Toxicosis in Dogs
- Merck Veterinary Manual:Chocolate Toxicosis in Animals
- Merck Veterinary Manual:Xylitol Toxicosis in Dogs
- Merck Veterinary Manual:Macadamia Nut Toxicosis in Dogs
- Merck Veterinary Manual:Bread Dough Toxicosis in Animals
- VCA Animal Hospitals:Onion, Garlic, Chive, and Leek Toxicity in Dogs
- ASPCA:Is It Ever Safe to Induce Vomiting?
- ASPCA Animal Poison Control:People Foods to Avoid Feeding Your Pets
- ASPCApro:Toxic Component in Grapes and Raisins Identified
- U.S. Food and Drug Administration:Paws Off Xylitol; It’s Dangerous for Dogs
- Pet Poison Helpline:Onions
- Pet Poison Helpline:Onions Are Poisonous To Dogs
- Pet Poison Helpline:Avocado
- American Kennel Club:Can Dogs Eat Bread?
- 栃木県獣医師会:犬や猫が食べてはいけないもの
- Maede Y, et al. (1991) Hereditary high-potassium erythrocytes with high Na, K-ATPase activity in Japanese shiba dogs. Research in Veterinary Science
- Yamato O, Maede Y. (1992) Susceptibility to onion-induced hemolysis in dogs with hereditary high erythrocyte reduced glutathione and potassium concentrations. American Journal of Veterinary Research
- Wegenast CA, et al. (2022) Acute kidney injury in dogs following ingestion of cream of tartar and tamarinds and the connection to tartaric acid as the proposed toxic principle in grapes and raisins. Journal of Veterinary Emergency and Critical Care




