この記事は、公開されている情報や犬の健康に関する一般的な知見をもとにWANLABが独自にリサーチ・編集しています。できる限り正確な内容を心がけていますが、情報が古くなっている場合や個体差によって当てはまらない場合もあります。健康やしつけに関する判断は、必要に応じて獣医師や専門家にもご相談ください。
この記事の要点
しこりの硬さや動き方だけで良性・悪性は判定できません。新しく見つけたら場所、大きさ、色、痛み、変化を記録します。
赤い、出血・潰瘍がある、急に大きくなる、痛がる、生活を邪魔する場合は早めの診察が必要です。
獣医師は触診に加え、必要に応じて細針吸引や生検で細胞・組織を確認します。見た目だけで結論を出さないことが安全です。
犬をなでているとき、ブラッシング中、シャンプー後に「皮膚に小さなしこりがある」「できもののようなものを見つけた」と気づくことがあります。
犬の皮膚や皮下のできものには、脂肪のかたまり、袋状のできもの、炎症、虫刺され、いぼのような変化、腫瘍など、いろいろな可能性があります。見た目だけで「大丈夫」「悪いもの」と決めるのは困難です。家庭では変化を記録し、診断は動物病院へつなぎます。
まず覚えておきたいこと
犬のしこりは、やわらかい、硬い、動く、動かない、赤い、毛で隠れているなど、見え方も触れ方もさまざまです。ただし、触った感じや色だけで中身を判断することはできません。
AAHAの2026年腫瘍診療ガイドラインは、触診や画像だけでは腫瘤の種類や挙動を判定できず、顕微鏡で評価するための採材が必要だと説明しています。見た目が穏やかでも、診断の代わりにはなりません。
つまり、家庭でできることは「診断」ではなく、変化を見つけて、記録し、適切なタイミングで相談することです。
家庭で確認したい6つのポイント
しこりを見つけたら、強く押したり、つまんだり、針で刺したり、潰したりせず、まずは落ち着いて観察します。犬が嫌がる場合は無理に触らず、写真だけでも残しておきましょう。
- 場所:首、胸、脇、足、背中、口まわり、乳腺まわり、指の間など
- 大きさ:米粒くらい、豆くらい、何cmくらいか。メジャーや硬貨と一緒に撮ると比較しやすい
- 増え方:急に大きくなったか、数日から数週間で変化しているか
- 表面:赤み、出血、かさぶた、ただれ、毛が抜けている部分があるか
- 犬の反応:痛がる、かゆがる、なめ続ける、触ると怒る、元気や食欲が落ちているか
- 数:1個だけか、複数あるか、同じ場所にくり返すか

早めに受診したいサイン
「しばらく様子を見るか迷う」場合でも、次のような変化があるときは早めに動物病院へ相談しましょう。特に、急に大きくなる、出血する、痛がる、犬が気にしてなめ壊すような変化は、家庭だけで判断しないほうが安全です。
- 短期間で大きくなる、形が変わる
- 赤い、紫っぽい、出血する、じゅくじゅくする
- かさぶたができる、治ったように見えてまた崩れる
- 触ると痛がる、強く嫌がる
- 犬がなめ続ける、噛む、こすりつける
- 同じようなしこりが複数ある
- 元気がない、食欲がない、体重が減る、呼吸が苦しそうなど全身症状がある
- 乳腺まわり、口の中、指の間、肛門まわりなど、見落としやすい場所にある
AAHAは、腫瘤と同じ見え方をする非腫瘍性の変化が多い一方、触った感触だけでは区別できないとしています。すべてのしこりが腫瘍という意味ではありませんが、「小さいから安全」「やわらかいから良性」とも言い切れません。
様子を見るとしても、放置とは違う
小さく、痛みや赤みがなく、犬が気にしていないしこりでも、完全な放置は避けたいところです。次の健康診断まで待つ場合でも、写真と大きさを残し、変化があれば予定を早めて相談できるようにしておきます。
「昨日はなかった気がする」「前より大きくなったかも」と感じるときほど、記録が役立ちます。スマートフォンで同じ角度から撮り、日付と場所をメモしておくと、診察時に説明しやすくなります。
一方で、しこりを家で潰す、消毒薬を何度も塗る、人用の薬を使う、強くマッサージする、といった対応は避けましょう。炎症を悪化させたり、診断に必要な状態をわかりにくくしたりすることがあります。

動物病院では何を調べるの?
診察では、しこりの場所、大きさ、硬さ、動きやすさ、周囲の皮膚、リンパ節、全身状態などを確認します。必要に応じて、細い針で細胞を採る検査、内容物の確認、画像検査、切除して病理検査に出す方法などが検討されます。
VCA Animal Hospitalsは、細針吸引でしこりから細胞を採り、顕微鏡で調べる方法を解説しています。採れた細胞が少ないなど結果が確定しない場合は、再検査や組織検査が必要になることもあります。
検査が必要か、すぐ切除するか、経過を見るかは、年齢、犬種、場所、大きさ、増え方、過去の病歴によって変わります。怖がらせるためではなく、必要な対応を早く選ぶために相談する、と考えると動きやすくなります。
よくある可能性と、決めつけない考え方
Cornell University College of Veterinary Medicineは、脂肪腫を皮下にできることが多い柔らかく動くしこりとして説明する一方、似た感触の別の腫瘤を除外するため追加検査を勧めています。良性らしく見える変化も、確認して初めて区別できます。
ただし、同じ「丸いしこり」に見えても、炎症、嚢胞、脂肪腫、皮膚腫瘍、肥満細胞腫、軟部組織肉腫など、背景はさまざまです。犬種や年齢によって多い傾向はありますが、家庭で名称を決めつける必要はありません。
大切なのは、「何に見えるか」より「いつからあるか」「どう変わっているか」「犬が困っているか」「検査が必要な変化か」を整理することです。

日常ケアで見つけやすくする
しこりは、毎日じっと探すより、いつものケアの中で自然に気づける形にしておくと続きます。ブラッシング、足拭き、シャンプー後、抱っこのときなど、犬が落ち着いているタイミングで体をなでながら確認しましょう。
- 首輪やハーネスが当たる場所
- 脇、内股、胸、腹、背中
- 耳の裏、口まわり、目のまわり
- 足先、肉球の間、指の間
- 乳腺まわり、肛門まわり
長毛犬やダブルコートの犬では、毛に隠れて小さな変化に気づきにくいことがあります。毛玉、蒸れ、赤み、フケ、かゆみと一緒に、皮膚の盛り上がりも軽く確認しておくと安心です。
まとめ
犬の皮膚のしこりやできものは、珍しいものではありません。ただ、見た目だけで安全かどうかを判断するのは難しく、なかには早めの検査が大切なものもあります。
小さな変化を見つけたら、潰したり自己判断で薬を使ったりせず、場所・大きさ・写真・犬の反応を記録しましょう。赤み、出血、急な増大、痛み、なめ壊し、全身症状がある場合は、早めに動物病院へ相談するのが安全です。
よくある質問
- 柔らかく動くしこりなら脂肪腫ですか?
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脂肪腫に似る特徴はありますが、触った感触だけでは確定できません。別の腫瘤も似て見えるため、獣医師が必要に応じて細針吸引などで確認します。
- しこりは何日くらい様子を見てよいですか?
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一律の日数で安全とは決められません。新しいしこりは記録して診察時に相談し、急な拡大、赤み、出血、潰瘍、痛み、元気や食欲の低下があれば待たずに受診します。
- 自宅で毎日触っても大丈夫ですか?
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強く押したりつぶしたりせず、同じ角度の写真と定規で大きさを記録する程度にします。痛がる、出血する、熱を持つ場合は触り続けず動物病院へ相談してください。
参考情報
- AAHA: 2026 Oncology Guidelines—Tumor Diagnostics & Staging
- Cornell University College of Veterinary Medicine: Lipomas in dogs
- VCA Animal Hospitals: Fine Needle Aspiration (FNA)
- AAHA Oncology Guidelines for Dogs and Cats (2026), PubMed




