スラリとした体に知的な眼差し、風になびく美しい被毛——ボーダーコリーは、「全犬種で最も賢い犬」として世界中で愛されている人気犬種です。
牧羊犬として長い歴史を持ち、その運動能力と知能の高さからドッグスポーツ界でも大活躍。アジリティやディスクドッグの世界大会では常に上位を占め、まさに「犬界のアスリート」と呼ぶにふさわしい存在です。
でも、ボーダーコリーって実際どんな性格なの?飼いやすいの?この記事では、ボーダーコリーの特徴・性格・習性から、飼う前に知っておきたい注意点まで詳しく解説します。
ボーダーコリーを飼いたい方も、ボーダーコリーについてもっと知りたい方も、ぜひ参考にしてください。
ボーダーコリーってどんな犬?基本情報
ボーダーコリーは、イギリス原産の牧羊犬です。その名前は「国境(Border)」を意味し、イングランドとスコットランドの国境地帯で活躍していたことに由来します。8世紀後半から11世紀ごろ、バイキングがスカンジナビア半島からイギリスへ持ち込んだトナカイ用の牧畜犬が祖先とされ、その後イギリス土着の犬種と交配を重ねて現在の姿になりました。
長らく外見よりも「羊を上手にコントロールできるか」という作業能力のみが重視されてきたため、純血種としての公認は比較的遅く、イギリスのケネルクラブに登録されたのは1976年のことです。

| 原産国 | イギリス(イングランド・スコットランド国境地帯) |
| 体高 | オス:約50〜55cm / メス:約45〜50cm |
| 体重 | オス:14〜22kg / メス:12〜19kg |
| 平均寿命 | 12〜15歳 |
| 被毛 | ダブルコート(ラフコート/スムースコート) |
| グループ | 牧羊犬グループ(JKC第1グループ) |
ボーダーコリーの外見的特徴
体型・サイズ
ボーダーコリーは体高約45〜55cm、体重12〜22kgの中型犬です。体高よりも体長がやや長く、均整のとれたスリムで筋肉質な体格が特徴。引き締まった体からは「スポーツ万能犬」であることが一目でわかります。
実は、ボーダーコリーには「ワーキングタイプ」と「ショータイプ」の2種類がいます。ワーキングタイプは細身で小柄、運動に特化した体型。ショータイプはやや豊かな体型で、ショードッグとして洗練された外見を持っています。
毛色のバリエーション
ボーダーコリーの毛色は、実はとてもバリエーション豊富。その数はなんと40種類以上とも言われています。日本ではブラック&ホワイトが定番ですが、他にも魅力的な毛色がたくさんあります。
- ブラック&ホワイト:最もポピュラーな配色。コントラストのはっきりした黒と白の組み合わせが美しい定番カラーです
- レッド&ホワイト:赤みがかった茶色と白の組み合わせ。柔らかく優しい印象を与えます
- チョコレート&ホワイト:濃い茶色と白の組み合わせ。落ち着いた雰囲気が魅力的です
- ブルーマール:グレーがかったまだら模様。珍しく、非常に人気が高い毛色です
- トライカラー:黒・白・タンの3色構成。表情豊かな印象になります

被毛のタイプ
ボーダーコリーの被毛には、「ラフコート(長毛)」と「スムースコート(短毛)」の2タイプがあります。日本で見かけるボーダーコリーのほとんどはふさふさのラフコートですが、スムースコートの子もいます。
ラフコートは直毛でやや硬い質感、スムースコートは滑らかな手触りが特徴。どちらもダブルコートで毛量が多く、換毛期にはかなりの抜け毛が出ます。ドッグスポーツに出場する方の中には、お手入れのしやすさからスムースコートを選ぶ人も多いようです。
顔立ち・表情
ボーダーコリーの顔立ちは、なんといっても「知的」の一言に尽きます。はっきりとした瞳は常に周囲を観察し、飼い主の動きを追っているよう。この鋭い眼差しこそが、羊を視線だけでコントロールしてきた牧羊犬としての名残です。
耳の形は個体によって様々で、立ち耳、半立ち耳、折れ耳と異なるタイプがいます。どのタイプでも、感情に合わせて耳をピクピク動かす姿はとても愛らしいですよ。尻尾は長く垂れ下がり、先端部分だけがわずかに上向いているのが特徴です。
ボーダーコリーの性格・気質
全犬種ナンバーワンの知能
ボーダーコリーと言えば、なんといっても「賢さ」が最大の特徴です。カナダのブリティッシュ・コロンビア大学のスタンレー教授が行った犬の知能調査では、全犬種の中で1位という結果が出ています。新しいコマンドを覚えるスピード、指示に従う正確さ、いずれもトップクラスの成績でした。
その賢さは、飼い主の何気ない動きまで観察して覚えてしまうほど。複雑な指示やトリックも正確にこなし、問題解決能力にも優れています。ただし、賢いがゆえに「この飼い主には従わなくても大丈夫」と判断されてしまうこともあるので、しっかりとした信頼関係を築くことが大切です。
飼い主に忠実で愛情深い
ボーダーコリーは飼い主に対してとても忠実で、一途すぎるほど従順です。主人と認めた人の指示にはしっかり従い、人の気持ちを敏感に読み取る能力に優れています。飼い主が落ち込んでいると元気がなくなり、楽しそうにしていると一緒にはしゃぐ、そんな愛情深い一面を持っています。
一方で、家族以外の人にはあまり関心を示さないことも。知らない人や動物に対しては警戒したり、興味を持たなかったりする子もいます。この「家族への一途さ」は魅力でもありますが、社会化訓練をしっかり行うことが大切です。
エネルギッシュで運動大好き
牧羊犬として広大な牧草地を駆け回っていた歴史から、ボーダーコリーは運動が大好きで体力も抜群。「疲れ知らず」とも言われるほどのスタミナを持っています。
ただ走り回るだけでなく、ボールを持ってこさせる遊びやアジリティなど、飼い主と一緒に何かを達成する「作業」を特に好みます。人との共同作業を楽しむ性質は、牧羊犬時代から変わらないボーダーコリーの本能です。

作業意欲が高く集中力抜群
ボーダーコリーは「仕事をすること」に喜びを感じる犬種です。何かタスクを与えられると、驚くほどの集中力で取り組みます。訓練をこなす忍耐力も高く、ドッグスポーツやトレーニングでは目を見張る成果を発揮します。
この作業意欲の高さは大きな魅力ですが、逆に言えば「やることがないと退屈してしまう」ということでもあります。知的な刺激が足りないとストレスが溜まり、問題行動につながることもあるので注意が必要です。
オスとメスの性格の違い
ボーダーコリーはオスとメスで性格に大きな違いはありませんが、一般的な傾向として以下のような違いがあると言われています。
| オス | メス | |
|---|---|---|
| 体格 | やや大きめでがっしり | やや小柄でコンパクト |
| 性格傾向 | やんちゃで甘えん坊 | 落ち着きがありマイペース |
| 縄張り意識 | やや強め | 比較的穏やか |
| 寿命 | 平均的 | わずかに長い傾向 |
もちろん個体差が大きいので、これはあくまで傾向です。実際にブリーダーさんのもとで会って、その子自身の性格や相性を確かめるのが一番ですよ。
ボーダーコリー特有の習性・行動
「アイ」で見つめる—牧羊犬の本能
ボーダーコリー最大の特徴とも言えるのが、「アイ」と呼ばれる強い視線で対象物を見つめる行動です。これは「アイ・ストーキング」とも呼ばれ、鋭い眼差しだけで羊の進行方向を操るという、まるで超能力のような技術の名残です。
家庭犬となった今でも、この本能は健在。家族や他のペット、おもちゃなどをじっと見つめる姿は、まさに「働く犬」のDNAを感じさせます。
「スニーク」—忍び寄る独特の動き
ボーダーコリーには「スニーク」と呼ばれる特有の行動があります。これは、対象物に対して体の重心を低くし、足を最小限に動かして忍び足で近づく動作のこと。まるで獲物に忍び寄る肉食動物のような、独特の動きです。
この「スニーク」は、羊を驚かせずにゆっくり近づくために発達した牧羊犬特有の行動で、他の犬種ではほとんど見られません。公園でボールを追いかけるときなどに、この姿勢を見せることがありますよ。

動くものを追いかける習性
牧羊犬としてのDNAから、ボーダーコリーは動くものを追いかける習性がとても強いです。自転車、車、ランニングしている人、他の動物など、動いているものを見ると衝動的に追いかけてしまうことがあります。
この習性は子どもと遊ぶときにも現れることがあり、走り回る子どもの後を追いかけて軽く足元に触れようとすることも。牧羊犬として羊を誘導していた名残です。悪気はありませんが、しつけで適切にコントロールすることが大切です。
知的刺激を求める—退屈が大敵
ボーダーコリーにとって、退屈は大敵です。頭が良い分、刺激のない生活はストレスの原因になります。頭を使うおもちゃ、ノーズワーク(嗅覚を使った遊び)、トレーニングなど、脳を働かせる機会を積極的に作ってあげることが大切です。
知的刺激が足りないと、家具をかじる、穴を掘る、無駄吠えをするなどの問題行動につながることも。ボーダーコリーを「ただのペット」として飼うとギャップに戸惑う飼い主さんも多いので、この点はよく理解しておく必要があります。
ボーダーコリーを飼う上での注意点
しつけのポイント
ボーダーコリーは非常に賢いので、しつけの習得スピードは全犬種トップクラスです。ただし、賢いがゆえに「誤ったしつけ」もすぐに覚えてしまうので注意が必要。一貫性を持って、混乱させないようにしつけることがポイントです。
また、動くものを追いかける習性があるため、「呼び戻し」のコマンドは必ず早い段階で教えておきましょう。散歩時の引っ張りや人への飛びつきも、力が強い分、早めのしつけが大切です。トレーニングを「遊び」として楽しめるよう工夫すると、ボーダーコリーは喜んで取り組んでくれますよ。
運動量の目安
ボーダーコリーは非常に運動量が多い犬種です。他の犬種とは比べものにならないほどの体力を持っているため、運動不足は深刻なストレスの原因になります。
1日2回、各60分程度の散歩が理想的。さらに、ドッグランでの自由運動やボール遊びなどを加えるとベスト。
ただ走るだけでなく、アジリティやディスクドッグ、フリスビーなど頭と体を両方使う運動が特におすすめです。毎日しっかりと時間を確保できる方でないと、ボーダーコリーを満足させるのは難しいかもしれません。
お手入れのポイント
ボーダーコリーはダブルコートで毛量が多いため、抜け毛は非常に多いです。特に換毛期(春・秋)には驚くほどの毛が抜けるので、毎日のブラッシングは欠かせません。
ラフコートの場合は毛が絡まりやすいため、こまめなお手入れが必要です。絡まった毛を放置すると毛玉ができ、蒸れや皮膚病の原因にもなります。トリミングの必要はありませんが、定期的なシャンプーとブラッシングで清潔を保ちましょう。
かかりやすい病気
ボーダーコリーは、遺伝性の病気がいくつか知られています。健康な犬を迎えるためにも、信頼できるブリーダーから購入し、親犬の健康状態を確認することが大切です。
- 股関節形成不全:股関節の発達異常。遺伝や激しい運動、肥満が原因となることも。歩き方に違和感が出たら要注意です
- コリー眼異常(CEA):網膜や視神経の発達に異常が見られる先天性疾患。重症化すると失明の可能性も。遺伝子検査で確認できます
- 進行性網膜萎縮症(PRA):徐々に視力が低下していく遺伝性疾患。最初は夜間の視力低下から始まります
- セロイドリポフスチン症(CL病):脳などに色素が蓄積する遺伝性疾患。運動障害や知的障害を引き起こし、進行すると命に関わることも
- てんかん:脳の神経細胞の異常な興奮による発作。定期的な投薬でコントロールすることが可能です
ボーダーコリーを迎える際は、親犬の遺伝子検査を実施しているブリーダーを選ぶことをおすすめします。CEAやPRA、CL病などは遺伝子検査で事前に確認できる疾患です。
ボーダーコリーに関するよくある質問
初心者でも飼える?
正直に言うと、ボーダーコリーは犬を初めて飼う方にはあまりおすすめできない犬種です。運動量が非常に多く、知的刺激も必要とするため、「普通の犬」として飼おうとすると大変です。犬のしつけやトレーニングに時間と労力をかけられる方、アクティブなライフスタイルの方には最高のパートナーになってくれますが、飼い主には高度な理解と根気が求められる「上級者向け」の犬種と言えるでしょう。
マンションでも飼える?
不可能ではありませんが、かなり条件が限られます。ボーダーコリーは中型犬の中でも大きめで、運動量も非常に多い犬種。毎日のしっかりした運動時間を確保できること、近くにドッグランがあることなどが条件になるでしょう。庭付きの一戸建てや、運動スペースを確保しやすい環境の方が向いています。
抜け毛はどのくらい?
ダブルコートのため、抜け毛は非常に多いです。特に換毛期には驚くほどの量が抜けるので、毎日のブラッシングと掃除は必須。「犬の毛が家中にあっても気にならない」という方でないと厳しいかもしれません。抜け毛対策グッズや掃除機の性能には投資する価値があります。
子どもがいる家庭でも大丈夫?
基本的には問題ありませんが、注意点があります。ボーダーコリーは動くものを追いかける習性があるため、走り回る子どもの後を追いかけて足元に触れようとすることがあります。これは「羊を誘導する」牧羊犬の本能で、悪気はありません。適切なしつけと、子どもへの犬との接し方の教育が大切です。子どもと犬だけにせず、大人が見守るようにしましょう。
飼育放棄が多いって本当?
残念ながら、ボーダーコリーは飼育放棄されやすい犬種の一つと言われています。美しい外見に惹かれて飼ったものの、想像以上の運動量や知的刺激の必要性に対応できず、手放してしまうケースが少なくありません。ボーダーコリーを迎える前に、この犬種の特性をしっかり理解し、10年以上の長い付き合いを覚悟した上で決断することが大切です。
まとめ
ボーダーコリーの特徴や性格、習性について詳しく紹介してきました。最後に、この記事のポイントをおさらいしましょう。
- 全犬種ナンバーワンの知能を持つイギリス原産の牧羊犬
- 飼い主に忠実で愛情深く、作業意欲が非常に高い
- 運動量は犬種トップクラス、毎日2時間以上の運動が必要
- 「アイ」や「スニーク」など牧羊犬特有の習性を持つ
- 抜け毛が多く、毎日のブラッシングは必須
- 遺伝性疾患が多いため、信頼できるブリーダー選びが重要
ボーダーコリーは、その賢さと運動能力で飼い主を魅了してやまない犬種です。一方で、「飼いやすい」とは言えない面も多く、飼い主には相応の覚悟と環境が必要になります。
でも、しっかりとした信頼関係を築けば、これほど素晴らしいパートナーはいません。ドッグスポーツを一緒に楽しんだり、アウトドアに連れ出したり、アクティブな暮らしを共にしたい方には最高の相棒になってくれるでしょう。ボーダーコリーとの暮らしを検討している方は、この記事を参考に、素敵な出会いを見つけてくださいね。


コメント