ペットショップでチワワを見たとき、「ペコあり」という表記を見かけたことはありませんか?または、愛犬のチワワの頭を撫でていたら、柔らかくへこむ部分があって驚いた経験がある方もいるかもしれません。
この柔らかい部分は「モルメラ(モレラ)」や「ペコ」「泉門」と呼ばれ、チワワに多く見られる特徴です。通常は成長とともに塞がりますが、成犬になっても残っている子も少なくありません。
「モルメラが残っていて大丈夫なの?」「日常生活で何を気をつければいいの?」と不安に思っている飼い主さんも多いのではないでしょうか。
この記事では、チワワのモルメラが残っている子の正しいケア方法から、水頭症との関係、病院を受診すべきサインまで詳しく解説します。愛犬との安心な暮らしのために、ぜひ参考にしてください。

チワワのモルメラ(泉門)とは?
モルメラとは、頭蓋骨の頭頂部にある柔らかい隙間のことです。「ペコ」「泉門(せんもん)」「泉門開存」とも呼ばれています。
実はこれ、人間の赤ちゃんにも見られる現象なんです。赤ちゃんの頭のてっぺんを触ると、柔らかくペコペコしている部分がありますよね。これも同じ泉門です。出産時に狭い産道を通りやすくするために、頭蓋骨が完全に閉じていない状態で生まれてくるのです。
なぜチワワに多いの?
チワワは「アップルヘッド」と呼ばれる丸い頭の形が特徴的な犬種です。この丸く大きな頭を持つ犬種は、モルメラが残りやすい傾向があると言われています。
通常、泉門は生後3〜4ヶ月ほどで自然に塞がることが多いですが、チワワの場合は1歳を過ぎても残っていることがあります。小指の先ほどの小さな隙間であれば成長とともに塞がることもありますが、親指ほどの大きさがある場合は、そのまま残る可能性が高いです。
モルメラはチワワに限らず、ポメラニアンやトイプードルなど、頭が丸く張ったタイプの小型犬種にも見られることがあります。チワワは遺伝的に特に起こりやすい犬種とされています。
モルメラがあると何が問題?
モルメラがあるということは、頭蓋骨の一部が開いている状態です。つまり、その部分は骨で守られておらず、皮膚のすぐ下に脳膜がある状態なのです。
小さな隙間(1cm程度)であれば健康上の問題はないとされていますが、大きなモルメラがある場合は以下のリスクがあります。
- 頭部への衝撃に弱い:骨で守られていないため、衝撃が直接脳に伝わりやすい
- 水頭症のリスク:生後1年を過ぎても塞がらない場合、水頭症との関連が指摘されている
- 脳損傷の可能性:強い衝撃を受けた場合、脳挫傷を起こす危険性がある
ただし、モルメラがあるからといって必ず病気になるわけではありません。多くのチワワはモルメラがあっても、飼い主さんが適切にケアすることで健康に過ごしています。
モルメラと水頭症の関係
「モルメラがあると水頭症になるの?」という疑問を持つ飼い主さんは多いですよね。結論から言うと、モルメラがあるからといって必ず水頭症になるわけではありません。
水頭症とは?
水頭症は、脳の内部にある「脳室」という空間に「脳脊髄液」が過剰に溜まり、脳を圧迫してしまう病気です。通常、脳脊髄液は脳の周りを循環して、脳を外部の衝撃から守ったり、水分量を調整したりする役割を担っています。
この脳脊髄液の流れが悪くなると、頭蓋骨の内側に液体が溜まり、脳を圧迫してさまざまな症状を引き起こします。
モルメラと水頭症の因果関係
モルメラと水頭症の関係については、まだ明確にはわかっていません。獣医学的には以下のような見解があります。
- モルメラが開いていることが水頭症の症状の一つである場合がある
- モルメラが開いていることが水頭症のリスクになる場合がある
- モルメラと水頭症がまったく無関係の場合もある
- 水頭症の犬でもモルメラがきちんと閉じている子もいる
つまり、「モルメラが開いている=水頭症」ではないのです。過度に心配する必要はありませんが、定期的に獣医師に診てもらい、経過を観察することが大切です。
アメリカ獣医師会のデータによると、小型犬の泉門開存で臨床的症状が出る確率は全体の15%未満と報告されています。ほとんどのチワワではモルメラがあっても健康を損なうことはありません。
モルメラがある子の日常ケア【7つの注意点】
モルメラが残っているチワワでも、飼い主さんが日常生活で気をつけることで、普通の生活を送ることができます。ここでは、具体的なケア方法と注意点を紹介します。

①頭を強く撫でない・触らない
モルメラがある部分は骨で守られていないため、強い力で触ったり押したりすると脳に直接影響を与える可能性があります。
- 頭頂部を強く押す
- 頭をグリグリと撫でる
- 必要以上に頭を触る
- 優しく頭を包み込むように撫でる
- 耳の後ろや首筋を撫でる
- 体全体を優しくマッサージする
来客やお子さんが愛犬を触るときは、「頭は優しく撫でてね」と事前に伝えておくことも大切です。
②ドッグランやアジリティに注意
ドッグランでは犬同士の衝突やトラブルが起きやすく、頭部に衝撃を受けるリスクがあります。特に大型犬がいる場合は注意が必要です。
アジリティなどの激しい運動も、転倒や衝突のリスクがあるため、モルメラがある子には控えた方が安心です。
チワワは体が小さいため、室内での遊びや短時間の散歩でも十分な運動量を確保できます。1日15〜20分程度の穏やかな散歩がおすすめです。
③落下事故を防ぐ
ソファーや椅子からの飛び降り、抱っこ中の落下は、頭部に強い衝撃を与える原因になります。
- 抱っこするときはしっかりと支える
- 高い場所には登らせない
- ソファーにはステップやスロープを設置する
- 床にはクッション性のあるマットを敷く
チワワは身軽で高いところが好きな子も多いですが、モルメラがある子は特に落下事故に注意が必要です。
④落下物から守る
地震などで物が落ちてきた場合、頭を直撃すると大変危険です。愛犬の生活スペースの上には、落下する可能性のあるものを置かないようにしましょう。
- ケージやサークルは屋根付きのものを使用する
- ケージの上や近くに物を置かない
- 家具の転倒防止対策をする
- 本棚や飾り棚の近くを避けて生活スペースを設置する
⑤他の犬との接触に注意
散歩中や犬の集まりで、他の犬とじゃれ合ったり、追いかけっこをしたりする場面があります。頭をぶつけたり、他の犬に噛まれたりするリスクがあるため、目を離さないようにしましょう。
特にチワワは体が小さいため、大型犬が悪気なくぶつかっただけでも大きな衝撃になります。
⑥ストレスの少ない環境を整える
ストレスは体の発達や健康に影響を与えると言われています。特に成長期のチワワには、穏やかで安心できる環境を整えてあげましょう。
- 騒音の少ない静かな環境
- 寒暖差が大きすぎない室温管理(25度前後が理想)
- 安心して休める専用スペース
- 規則正しい生活リズム
⑦定期的に経過観察をする
モルメラの状態は、飼い主さん自身でも優しく触って確認することができます。大きさや形状に変化がないか、定期的にチェックしましょう。
また、かかりつけの獣医師に定期的に診てもらい、モルメラの状態を一緒に見守ることが大切です。

病院を受診すべきサイン
モルメラがある子でも、ほとんどの場合は健康に過ごすことができます。しかし、以下のような症状が見られた場合は、すぐに動物病院を受診してください。
頭部に衝撃を受けた後の症状
- 元気がなくなった:いつもより活動量が減り、ぐったりしている
- 食欲がない:普段食べるものを食べなくなった
- 嘔吐:頭部への衝撃後に吐いた
- ふらつき:まっすぐ歩けない、バランスを崩す
水頭症を疑う症状
- 行動の異常:ぐるぐる同じ場所を回る(旋回運動)、壁に頭を押し付ける
- 知能の異常:落ち着きがない、しつけが入らない、反応が鈍い
- 視覚の異常:物にぶつかる、目が外側を向いている(外側斜視)
- けいれん発作:体が突然ガクガクと震える
- 意識の異常:呼んでも反応しない、ぼんやりしている
水頭症の症状が何も出ていない場合は、治療せずに様子を見ることが一般的です。しかし、症状が出ている場合は早期の治療が必要です。気になる症状があれば、自己判断せず獣医師に相談しましょう。
モルメラがある子の栄養管理
骨の発達をサポートするために、適切な栄養管理も大切です。特に成長期のチワワには、バランスの取れた食事を心がけましょう。
骨の発達に必要な栄養素
- カルシウム:骨や歯の形成に必要
- リン:カルシウムと一緒に骨を作る
- マグネシウム:骨の強度を保つ
- ビタミンD:カルシウムの吸収を助ける
ただし、これらの栄養素を過剰に摂取すると逆効果になることもあります。サプリメントを与える場合は、必ず獣医師の指導を受けてください。基本的には、年齢に合った総合栄養食のドッグフードを適量与えていれば、必要な栄養は摂取できます。
低血糖に注意
チワワは体が小さく食が細い傾向があるため、低血糖を起こしやすい犬種です。長時間の空腹は避け、1日の食事を3〜4回に分けて与えるのがおすすめです。
特に子犬期は注意が必要で、低血糖になると体がぐったりしたり、けいれんを起こしたりすることがあります。万が一のために、ブドウ糖や高カロリー栄養剤を常備しておくと安心です。
チワワのモルメラに関するよくある質問
モルメラは治るの?
小さなモルメラであれば、成長とともに塞がることがあります。しかし、親指ほどの大きさがあったり、1歳を過ぎても塞がっていない場合は、そのまま残る可能性が高いです。残念ながらモルメラ自体を治す治療法はないため、衝撃を与えないよう注意しながら日常生活を送ることになります。
モルメラがある子は飼いにくい?
頭部への衝撃に気をつける必要はありますが、それ以外は普通のチワワと同じように生活できます。日常的なケアを心がければ、健康で幸せな生活を送ることができます。「飼いにくい」と思う必要はありません。
生後1年経ってもモルメラが塞がらない場合は?
生後1年を過ぎてもモルメラが塞がらない場合は、一度動物病院で検査を受けることをおすすめします。水頭症のリスクがないか確認してもらい、今後の経過観察の方針を獣医師と相談しましょう。
モルメラの確認方法は?
チワワの頭頂部を優しく触ってみてください。骨がなく、柔らかくへこむ部分があれば、それがモルメラです。強く押さないように注意し、あくまで軽く触れる程度にしてください。不安な場合は獣医師に確認してもらいましょう。
シャンプーのときはどうすればいい?
シャンプーの際は、頭頂部を強くこすらないように気をつけてください。優しく包み込むように洗い、すすぐときも水圧が直接頭に当たらないよう注意しましょう。心配な場合は、頭部のシャンプーはタオルで拭くだけにするか、トリマーさんにモルメラがあることを伝えておくと安心です。
まとめ
チワワのモルメラ(泉門)が残っている子のケア方法について詳しく解説してきました。最後に、この記事のポイントをおさらいしましょう。
- モルメラはチワワに多く見られる特徴で、必ずしも病気ではない
- モルメラがある=水頭症ではなく、臨床症状が出る確率は15%未満
- 頭部への衝撃を避けることが最も大切なケア
- 強く撫でない、落下を防ぐ、激しい運動を控えるなど日常的な配慮を
- ストレスの少ない穏やかな環境を整えることも重要
- 元気がない、ふらつき、けいれんなどの症状が出たらすぐに病院へ
- 定期的な経過観察で、変化を見逃さないことが大切
モルメラがあっても、飼い主さんが正しい知識を持って適切にケアすることで、愛犬は健康で幸せな生活を送ることができます。過度に心配する必要はありませんが、日常的な配慮を忘れずに、愛情を持って見守ってあげてくださいね。
少しでも不安なことがあれば、自己判断せずかかりつけの獣医師に相談しましょう。愛犬との安心な暮らしのために、この記事がお役に立てれば幸いです。

コメント