この記事の要点
コーギーの足が短いのは、骨の伸び方にかかわる遺伝子を、生まれつきふつうの犬より多く持っているためです。この遺伝子は1つ受け継ぐだけで足が短くなるので、ミックスでも短足になりやすくなります。低い体は、牛のかかとを噛んで追う仕事に向いていました。一方で、この遺伝子は背中の病気(椎間板ヘルニア)の起こりやすさにも関わるため、体重管理や段差の対策で背中を守ることが大切です。立てない・歩けない、おしっこが出ない・漏れるときは、すぐに動物病院へ連絡してください。
この記事は公開情報をもとにWANLABが編集した一般情報です。健康や行動に関する判断は、必要に応じて獣医師や専門家へご相談ください。
散歩の途中で「どうしてこんなに足が短いの?」と声をかけられた経験のある飼い主さんは多いと思います。短い足と大きなお尻で歩く姿はコーギーの魅力ですが、あの体型には、生まれつきの遺伝子と、牛を追って働いてきた歴史の両方が関わっています。
背中の病気が気になる方は、背中を守るために、今日からできることから先に読んでもかまいません。
コーギーの足が短いのは、骨の伸びにかかわる遺伝子を多く持っているため
犬の体が成長するときには、「FGF4」という遺伝子が働きます。コーギーのような短足の犬は、このFGF4を、ふつうの犬より多く持っています。増えた分のFGF4が、足の骨の伸び方に影響すると考えられています。
これはコーギーだけの特徴ではなく、ダックスフンドやバセット・ハウンドなど、多くの短足犬種に共通しています。
増えたFGF4には、次の2種類があります。コーギーは、2種類とも持っていることが多い犬種です。
- 足だけに影響するタイプ:足が短くなる。背中への影響は小さいとされる。
- 足と背中に影響するタイプ:足が短くなるうえ、背骨のクッション(椎間板)が若いうちから傷みやすくなる。検査を受けたペンブロークでは、大半の犬が持っている。
2種類とも持つ犬は、1種類だけの犬よりも、足がさらに短くなります。
ミックスでも短足になりやすいのは、遺伝子1つで足が短くなるから
「コーギーの遺伝子は強い」とよく言われます。これは、足を短くする遺伝子が、両親のどちらか一方から受け継ぐだけで見た目に表れるためです。そのため、コーギーと足の長い犬種の間に生まれた子でも、短足になりやすいと考えられます。
なお、足と背中に影響するタイプは、両親の片方から受け継いだ犬より、両親の両方から受け継いだ犬のほうが、足がより短くなります。
低い体は、牛のかかとを噛んで追う仕事に向いていた
コーギーの故郷は、イギリスのウェールズです。古くから農家で、牛を追う牧畜犬として働いてきました。牛のかかとを軽く噛んで、牛を動かすのが仕事です。低い体と素早い動きは、この仕事に向いていました。
体が低いと、牛の蹴りをかわしやすいとも言われます。「牛に蹴られないように足を短くした」という話がよく語られるのは、このためです。ただ、足を短くする遺伝子は多くの犬種に共通していて、コーギーのために生まれたものではありません。もともと足の短い犬の中から、牛追いの上手な犬が選ばれてきた、という見方もできます。
1900年代初めのペンブロークは、今より足が長く、見た目もそろっていませんでした。今のように「長く低い」体型にそろってきたのは、その後のことです。名前の由来はコーギーの性格と特徴で紹介しています。
背中を守るために、今日からできること
足と背中に影響するタイプの遺伝子は、背骨の骨と骨の間にあるクッション「椎間板」を、若いうちから傷みやすくします。傷んだ椎間板が飛び出して、背骨の中の神経を押すのが椎間板ヘルニアです。
この遺伝子を持つ犬は、持たない犬に比べて、椎間板ヘルニアで手術を受けることが多く、若いうちに起こりやすいことが分かっています。ペンブロークは大半の犬がこの遺伝子を持っているので、どの子も背中をいたわる暮らしを心がけましょう。遺伝子を持っていても、必ず発症するわけではありません。
気をつけたい年齢
コーギーのような犬種では、3〜6歳ごろ(若い成犬から中年期)に症状が出始めることが多いとされます。年齢を重ねてからも起こることがあるので、若いうちから、シニア期に入ってからも、背中をいたわる暮らしを続けましょう。
毎日の暮らしで気をつけること
- 太らせない:体を手のひらで軽く触って肋骨が分かり、上から見て腰にくびれがあり、横から見てお腹が引き締まっているのが理想の体型です。アメリカの犬種の基準では、ペンブロークの体重はオス約13.6kg以下、メス約12.7kg以下とされています。体格はその子によって違うので、数字よりも体型で判断しましょう。健康診断のときに、体重と体型が合っているかを獣医師にみてもらうと安心です。
- 抱っこは体を水平に:片手を胸の下に、もう片方の手をお尻の下に入れ、体を水平に保ったまま持ち上げます。わきの下だけを持って上半身から持ち上げたり、体をねじったりしないようにします。
- 飛び乗り・飛び降りを減らす:ソファやベッドには、ステップやスロープを置きます。急な階段は、ゲートを付けたり抱っこで上り下りしたりして、避ける方法もあります。
- 滑りにくい床にする:フローリングにはマットを敷きます。詳しくは犬の関節を守る床づくりで紹介しています。
- 散歩は続ける:体重を保つためにも、毎日の散歩は大切です。ダックスフンドの調査では、毎日の運動が長い犬ほど、椎間板ヘルニアになった犬が少ない傾向がありました。
これらの工夫で椎間板ヘルニアを必ず防げるわけではなく、効果を確かめた研究もまだ多くありません。それでも、体重管理とステップやスロープの活用は、大学の獣医学部なども背中への負担を減らす工夫としてすすめています。
こんな様子があれば動物病院へ
すぐに動物病院へ連絡(夜間は救急対応の病院へ)
- 立てない・歩けない
- 後ろ足を引きずる、後ろ足がもつれる
- おしっこが出ない、または漏れる
- 動かすとキャンと鳴くほど、強く痛がる
できるだけその日のうちに受診
- ふらつく
- 首や背中を触られるのを嫌がる、背中を丸めてじっとしている
- 段差や階段を嫌がる
これは目安です。迷ったときは、まず動物病院に電話で相談してください。
受診までは、クレートなど動き回れない場所(立って向きを変えられる程度の広さ)で安静にさせます。運ぶときは、胸とお尻を支えて体を水平に保ちます。人の痛み止めは犬に害になることがあるので、与えないでください。受診の目安はダックスフンドと椎間板ヘルニアでも詳しく紹介しています。
よくある疑問
- 足の長いコーギーはいますか?
-
足の長さは、受け継いだ遺伝子の種類や数などで変わるので、その子によって違います。ただ、今のペンブロークは「長く低い」体型にそろっているため、純血で極端に足の長い子は多くありません。
- カーディガンも同じ理由で足が短いのですか?
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同じ仕組みと考えられています。カーディガン・ウェルシュ・コーギーも、足と背中に影響するタイプの遺伝子を、多くの犬が持っています。
- 遺伝子検査を受けると何が分かりますか?
-
どちらのタイプの遺伝子を、いくつ持っているかが分かります。検査結果の紙に「CDPA」とあれば足だけに影響するタイプ、「CDDY」とあれば足と背中に影響するタイプのことです。ペンブロークはもともと大半が足と背中に影響するタイプを持っているため、結果だけで椎間板ヘルニアになるかどうかは決まりません。受けるかどうかは、かかりつけの獣医師に相談してください。
- 足が短いから、散歩は少なめのほうがいいですか?
-
散歩を減らす必要はありません。コーギーは、牛を追って働いてきた丈夫で活発な犬です。気をつけたいのは歩く量よりも、飛び降りのように背中に負担がかかるとされる動きです。痛みやふらつきがあるときや治療中は、獣医師の指示どおりに安静にしてください。
参考情報(出典16件)
- National Human Genome Research Institute:Researchers Discover Evolutionary Event Underlying the Origin of Dachshunds, Other Dogs With Short Legs(2009年)
- Parker HG ほか:An Expressed Fgf4 Retrogene Is Associated with Breed-Defining Chondrodysplasia in Domestic Dogs(Science、2009年)
- UC Davis Veterinary Genetics Laboratory:Chondrodystrophy (CDDY and IVDD) and Chondrodysplasia (CDPA)
- Batcher K ほか:Phenotypic Effects of FGF4 Retrogenes on Intervertebral Disc Disease in Dogs(Genes、2019年)
- Cornell University College of Veterinary Medicine:Chondrodystrophy and intervertebral disc disease (CDDY/IVDD)
- Pembroke Welsh Corgi Club of America:Brief History
- American Kennel Club:Pembroke Welsh Corgi History
- American Kennel Club:Official Standard of the Pembroke Welsh Corgi
- Today’s Veterinary Nurse:Intervertebral Disc Herniation
- University of Missouri Veterinary Health Center:Intervertebral Disc Herniation
- AKC Canine Health Foundation:Overview of Intervertebral Disk Disease (IVDD)
- American Animal Hospital Association:Body Condition Scoring Systems
- Dachshund IVDD Support Australia:Picking up your Dachshund
- Packer RMA ほか:DachsLife 2015: an investigation of lifestyle associations with the risk of intervertebral disc disease in Dachshunds(Canine Genetics and Epidemiology、2016年)
- Garden State Veterinary Specialists:IVDD in Dogs: Emergency Signs
- U.S. Food and Drug Administration:Get the Facts about Pain Relievers for Pets




