愛犬のダックスフンドが、ソファやクッション、ベッドをガリガリと一心不乱に掘っている姿を見たことはありませんか?
「なんでこんなに穴を掘るの?」「やめさせた方がいいの?」と疑問に思う飼い主さんも多いのではないでしょうか。
実は、この穴掘り行動にはダックスフンドならではの深い理由が隠されています。その秘密は、なんと数百年前のドイツにまで遡るんです。
この記事では、ダックスフンドの穴掘り本能の正体から、上手な付き合い方までを詳しく解説していきます。愛犬の行動を理解して、より良い関係を築いていきましょう!

ダックスフンドが穴掘り好きな理由
ダックスフンドが穴掘りを好むのは、単なる癖や気まぐれではありません。この行動には、犬種としての歴史と本能が深く関わっています。
結論から言うと、ダックスフンドは「穴を掘ることが仕事だった犬種」なんです。
他の犬種にも穴掘り行動は見られますが、ダックスフンドは特にこの傾向が強いと言われています。テリア種と並んで「穴掘りのプロ」として改良されてきた歴史があるため、現代の家庭犬になった今でも、その本能が色濃く残っているのです。
ダックスフンドやジャック・ラッセル・テリアなどの狩猟犬は、他の犬種よりも穴掘りが好きなわんちゃんが多いと言われています。
「ダックスフンド」の名前に隠された秘密
ダックスフンドの穴掘り本能を理解するために、まずはこの犬種の名前の意味を紐解いてみましょう。
名前の由来は「アナグマ犬」
「ダックスフンド」という名前は、ドイツ語に由来しています。
| ダックス(Dachs) | ドイツ語で「アナグマ」 |
| フント(Hund) | ドイツ語で「犬」 |
| ダックスフンド | 直訳すると「アナグマ犬」 |
つまり、ダックスフンドは文字通り「アナグマを狩るための犬」として生まれた犬種なんです。名前からして、すでに穴掘りと深い関係があることがわかりますよね。
ちなみに、ドイツ語では語尾の「d」は濁らないため「ダックスフント」と発音しますが、日本では英語読みの「ダックスフンド」が一般的に使われています。どちらで呼んでも間違いではありませんよ。
数百年の歴史を持つ由緒ある犬種
ダックスフンドの歴史は非常に古く、12世紀頃にはその基礎となる犬が存在していたと言われています。
祖先犬は、スイス・ジュラ山岳地方の「ジュラ・ハウンド」や、ドイツやオーストリアの山岳地帯にいた中型の「ピンシェル」などの獣猟犬たち。これらの犬を交配させることで、現在のダックスフンドの原型が作られました。
15〜17世紀のヨーロッパの書物には、長い胴体と短い足、垂れ耳を持つ犬がアナグマを追いかける姿が描かれています。まさに現在のダックスフンドそのものですね。
1888年には、原産国ドイツで「ドイツテッケルクラブ」が設立され、現在に至るまでダックスフンドの繁殖と保存に力を注いでいます。

アナグマ猟と穴掘りの深い関係
では、なぜアナグマを狩るために穴掘りが必要だったのでしょうか?その理由を詳しく見ていきましょう。
アナグマは巣穴に住む動物
アナグマは、地面に複雑な巣穴を掘って生活する動物です。見た目はタヌキやアライグマに似ていて愛嬌がありますが、実は気性が荒く、長く鋭い爪を持っています。
ヨーロッパでは昔からアナグマの毛皮や肉が重宝されていたため、盛んに狩猟が行われていました。しかし、巣穴の奥深くに潜むアナグマを捕まえるのは非常に困難でした。
そこで活躍したのがダックスフンドです。
狭い巣穴に入り込む「胴長短足」の体型
ダックスフンドのあの独特な「胴長短足」の体型は、ただの可愛らしい特徴ではありません。実は、アナグマの狭い巣穴に入り込むために改良された、まさに「機能的なデザイン」なんです。
- 短い足:狭いトンネル状の巣穴でも自由に動き回れる
- 長い胴体:巣穴の中で方向転換がしやすい
- 発達した前足:力強く土を掘ることができる
- 筋肉質な体:凶暴なアナグマと対峙しても負けない
初期のダックスフンドは体重10〜20kgほどある大型の犬でした。獰猛なアナグマと巣穴の中で戦うためには、それだけの体格と筋力が必要だったんですね。
巣穴を広げる「穴掘り」も重要な仕事
ダックスフンドの仕事は、単に巣穴に入るだけではありませんでした。アナグマの巣穴の入り口が狭かったり、通路が崩れていたりする場合は、自ら穴を掘って広げる必要がありました。
また、巣穴の中でアナグマを追い立て、外に追い出すのもダックスフンドの役目。狭い空間で効率よく動くために、穴掘りの技術は欠かせないスキルだったのです。
かつてドイツでは、ダックスフンドはトリュフ狩りにも使われていました。プードルが匂いでトリュフを探し、ダックスフンドが掘り起こすという連携プレーで活躍していたそうです。
現代のダックスフンドが穴掘りをする理由
現在、日本で飼われているダックスフンドのほとんどは家庭犬。アナグマを狩る機会なんてまずありませんよね。
それでも穴掘りをするのは、数百年かけて培われた本能が今でも残っているからです。現代のダックスフンドが穴掘りをする理由は、主に以下の6つが考えられます。

1. 狩猟本能のスイッチが入った
何かのきっかけで狩猟犬としての本能が目覚め、穴掘りを始めることがあります。土の匂い、小動物の気配、植物の根っこなど、さまざまなものがトリガーになり得ます。
特に庭やドッグランなど土のある場所では、本能的に穴を掘り始めるダックスフンドが多いです。
2. 寝床を整えたい
寝る前にベッドやソファをガリガリ掘って、くるくる回ってから眠る姿を見たことはありませんか?これは野生時代の名残で、寝床を自分好みに整える行動です。
犬の祖先であるオオカミは、穴を掘って巣穴を作り、寝床にしていました。その習性が現代の犬にも受け継がれているんですね。
3. 大切なものを隠したい
お気に入りのおもちゃやおやつを穴に隠そうとする行動も、狩猟犬時代の名残です。野生の犬は、捕まえた獲物を地面に掘った穴に隠して保管していました。
いつも成功するとは限らない狩りの成果を、大切に取っておこうとする本能的な行動なんです。
4. 体温を調節したい
暑い日に穴を掘って、ひんやりした土にお腹をつけて涼む犬は多いです。反対に寒い日には、穴に入ることで風を避け、暖を取ることもあります。
室内でこの行動が見られる場合は、エアコンや暖房で室温を調整してあげると落ち着くことがあります。
5. 楽しいから・遊びとして
単純に穴を掘ることが楽しくて夢中になっている場合もあります。リズミカルに前足を動かす姿は、見ていて楽しそうですよね。
運動や遊びの一環として穴掘りをしているなら、無理にやめさせる必要はありません。
6. ストレスを感じている
一方で、注意が必要なケースもあります。しつこく穴掘りを繰り返したり、爪を痛めるほど激しく掘り続けたりする場合は、ストレスが原因かもしれません。
- 運動不足
- 暇すぎる
- 飼い主さんとのコミュニケーション不足
- 生活環境への不満
これらが原因の場合は、放置すると「常同障害」という心の病気につながる可能性もあるので、早めに対処することが大切です。
穴掘り本能との上手な付き合い方
ダックスフンドの穴掘りは本能による行動なので、完全にやめさせることは難しく、また必ずしもやめさせる必要はありません。大切なのは、愛犬と飼い主さんの両方にとって快適な方法を見つけることです。

穴掘りOKの場所を作る
庭がある場合は、愛犬専用の「穴掘りスペース」を設けてあげるのがおすすめです。そこで思う存分掘らせることで、室内でのイタズラが減ることも。
ただし、フェンス付近は脱走のリスクがあるので避けましょう。ダックスフンドは穴を掘ってトンネルを作り、フェンスの下から脱走してしまうことがあります。
室内では保護対策を
室内で穴掘りをする場合は、被害を最小限に抑える工夫をしましょう。
- フローリングに保護シートやマットを敷く
- ソファには丈夫なカバーをかける
- 専用の「掘ってもOK」なクッションやブランケットを用意する
十分な運動と遊びを
ストレスからくる過剰な穴掘りを防ぐには、日々の運動と遊びが大切です。ダックスフンドは見た目以上に体力があり、毎日の散歩や遊びの時間をしっかり確保する必要があります。
1日30分〜1時間程度の散歩が理想的。ボール遊びや引っ張りっこなど、室内での遊びも取り入れましょう。
穴掘り後のケアも忘れずに
庭で思いっきり穴掘りをさせた後は、体が泥だらけになることも。立水栓やお風呂で汚れを落としてあげましょう。特に爪の間や肉球は汚れがたまりやすいので、しっかりチェックしてくださいね。
ダックスフンドの穴掘りに関するよくある質問
穴掘りはやめさせるべき?
本能による行動なので、無理にやめさせる必要はありません。ただし、家具を壊したり、花壇を掘り返したりして困る場合は、掘ってもいい場所を決めて、そこでは思いっきり掘らせてあげましょう。掘られたくない場所には入れないようにするなどの工夫も効果的です。
毛質によって穴掘りの頻度は違う?
毛質による大きな差は報告されていませんが、性格には若干の傾向があると言われています。スムースは頑固で負けず嫌い、ロングは温和で穏やか、ワイヤーは協調性があるという特徴がそれぞれあります。ただし、個体差が大きいので、あくまで参考程度に考えてください。
子犬のうちからしつけれは穴掘りをやめられる?
穴掘り自体を完全にやめさせることは難しいでしょう。本能に根ざした行動だからです。ただし、「ここでは掘っていい」「ここはダメ」というルールは、子犬のうちから教えることで覚えさせることができます。ダックスフンドは賢い犬種なので、一貫したしつけをすれば理解してくれますよ。
穴掘りで爪が傷つかない?
通常の穴掘りであれば問題ありませんが、フローリングや硬いコンクリートで激しく掘り続けると、爪が割れたり削れたりすることがあります。定期的に爪の状態をチェックして、異常があれば獣医さんに相談しましょう。柔らかいマットやブランケットの上で掘らせるのも一つの対策です。
まとめ
ダックスフンドの穴掘り本能について解説してきました。最後にポイントをまとめます。
- ダックスフンドは「アナグマ犬」という名前の通り、アナグマ猟のために生まれた犬種
- 胴長短足の体型は、狭い巣穴に入り込むための「機能的なデザイン」
- 数百年かけて培われた穴掘りの本能は、現代の家庭犬にも受け継がれている
- 穴掘りは本能なので完全にやめさせる必要はない
- ストレスからくる過剰な穴掘りには注意が必要
- 穴掘りOKの場所を作り、適度な運動で欲求を満たしてあげることが大切
一見すると不思議に見える穴掘り行動も、その歴史と理由を知れば納得できますよね。
愛犬のダックスフンドが穴掘りをしている姿を見たら、「ああ、ご先祖様から受け継いだ大切な本能を発揮しているんだな」と温かく見守ってあげてください。そして、上手に付き合いながら、愛犬との楽しい毎日を過ごしていきましょう!

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