この記事の要点
チワワは体重1〜3kgほどの小さな犬ですが、機敏で注意深く、とても勇敢な性格です。「ティーカップ」「極小」は正式な種類の名前ではありません。小ささを優先して選ぶより、落下や寒さから体を守り、歯みがきと健康診断を続けられるかを考えて迎えましょう。
子犬がぐったりしている、けいれんしている、息が苦しそう、高い所から落ちたときは、すぐに動物病院へ連絡してください。受診の目安は、記事の後半の「受診の目安」にまとめています。
この記事で分かること:体重の基準とティーカップの意味/性格と毎日の暮らしで気をつけたいこと/気をつけたい病気と受診の目安
2026年9月更新|犬種団体や大学などの資料をもとにまとめています
大きな目と耳、片手に乗りそうな体。チワワは日本でもとても人気があり、2025年のジャパンケネルクラブの登録数は、犬種としてはプードル(4つのサイズの合計)に次ぐ2位でした。ただ、「小さいから手がかからない」とは限りません。この記事では、大きさの基準から性格、暮らし方、気をつけたい病気までをまとめます。
チワワの基本データ
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 原産 | メキシコ |
| もともとの役割 | 家庭で一緒に暮らす伴侶犬 |
| 体重 | 1〜3kg(理想は1.5〜2.5kg)。アメリカの基準では約2.7kg以下 |
| 肩までの高さ(体高) | 基準では問わない。アメリカのケネルクラブの紹介では約13〜20cm |
| 寿命 | 12年以上、14〜16年など、資料によって幅がある(下の説明も参照) |
| 毛 | スムースコート(短い毛)とロングコート(長い毛)の2種類 |
| 毛色 | さまざまな色が認められている(国際的な基準ではマール〈まだら模様〉だけは認められていない) |
| 運動 | 1日30分ほどまでが目安(年齢や体調に合わせて調整) |
| 気をつけたい病気 | 歯周病、膝のお皿が外れる病気(パテラ)、心臓の病気、気管虚脱、水頭症、子犬の低血糖など |
体重と寿命は、資料によって違う
- 体重:日本のジャパンケネルクラブも使っている国際的な基準では1〜3kgです。1kg未満や3kgを超える犬はドッグショーの審査で失格になりますが、これは見た目の基準で、健康かどうかとは別の話です。アメリカの基準は「6ポンド(約2.7kg)を超えないこと」で、下限はありません。その子にとってちょうどよい体重は、体つきを見ながら獣医師と決めましょう。
- 寿命:表の「12年以上」「14〜16年」は、犬種団体が示す一般的な目安です。一方、イギリスの研究には「8.2歳」という数字があります。これは平均寿命でも、1頭が何歳まで生きるかを示す数字でもありません。約1万1,600頭の診療記録のうち、調査期間中に亡くなった102頭の年齢を並べたときの真ん中の値です。若い犬が多い集団で、若いうちの事故や病気で亡くなった子も含むため、低めに出ている可能性があると研究者も注意しています。
「ティーカップ」は種類の名前ではない
ペットショップなどで見かける「ティーカップ」「極小」「ポケットサイズ」といった呼び名は、犬種の基準にある種類ではありません。アメリカのチワワの愛好団体は、公式な区別は毛の長さによる2種類だけで、大きさで分ける種類はないと説明しています。特に小さな子犬も「小さなチワワ」であって、高い値段に見合う特別な価値があるわけではない、という立場です。あわせて、とても小さな子犬は、健康のために特別な配慮が要ることがあるとも述べています。
同じ親から生まれたきょうだいでも、大きさには差が出ます。子犬のときの体重だけで、成犬の大きさを正確に約束することはできません。小さい子が必ず病気になるわけではありませんが、「小さいほどよい」とは言えません(体の小ささと頭の骨の関係は、下の「水頭症と泉門」で紹介します)。
子犬を迎えるときは、大きさよりも次のことを確かめておくと安心です。
- 生まれてからの体重の増え方と、よく食べているか
- ワクチンや診察の記録
- 親犬の大きさと、膝・心臓・目の検査を受けているか
- 「この大きさで止まる」と言い切らず、分からないことも説明してくれるか
スムースコートとロングコートの違い
チワワの種類は、毛の長さによる2つだけです。毛以外の体のつくりは同じとされています。
| スムースコート | ロングコート | |
|---|---|---|
| 毛 | 短く、体にぴったり沿う。つやがあり、やわらかい | 細くやわらかい長い毛で、まっすぐか少し波打つ。耳・首・足・しっぽに飾り毛がある |
| ブラッシング | ときどき〜週1回ほど | 毛玉を防ぐため、少なくとも週1回(週2〜3回をすすめる動物病院もある) |
| 気をつけたいこと | 毛は短いが、抜け毛はある | 長い毛で太ったことに気づきにくい |
どちらの毛の子も、寒さは苦手とされています。冬は室温や寝床を整え、体が冷えていないか触って確かめましょう。
性格は機敏で勇敢。家族との絆が強い
チワワは、機敏で注意深く、活発で、とても勇敢な犬とされています。体は小さくても自信にあふれ、物おじしない気の強さを見せることもあります。飼い主と強い絆を結びやすく、ひざの上や毛布の中で一緒に過ごす時間を好む子も多い犬です。賢く覚えが早いので、ほめるしつけによく応えます。
一方で、注意深い性格から、物音や来客に敏感に反応して吠える子もいます。怖いことがあると、唸ったり噛もうとしたりする子もいて、動物病院でもよく相談される困りごとの一つです。ただし、性格の出方には個体差が大きく、子犬の頃の経験や家での過ごし方でも変わります。
よくある誤解
- 「小さいから、散歩はいらない」
家の中を動き回るだけで足りる子もいますが、ゆっくりした短い散歩は体重と体調を保つのに役立ちます。においを嗅ぐ時間も、よい刺激になります。 - 「気が強いから、厳しく叱らないと直らない」
吠えや噛みつきは、怖さや警戒から出ることがよくあります。大声で叱るなど罰を使うやり方は、不安や攻撃的な行動と関係があると報告されています。怖がる相手から距離をとり、落ち着いていられた瞬間にほめる練習を重ねましょう。 - 「いつも抱っこしていれば安全」
腕やソファからの落下は、小さな体には大きなけがにつながります。抱き上げる前に声をかけ、胸と後ろ足の両方を支えましょう。
毎日の暮らしで気をつけたいこと
チワワが「飼いにくい」と言われるのは、小さな体を守るための気配りが毎日必要だからです。これから迎える方も、いま一緒に暮らしている方も、次のことができているか確かめてみましょう。
- 落下や踏みつけを防ぐため、段差にステップを置き、犬がよく通る場所に物を置かない
- 小さな子どもがいる家では、床に座って触れ合うなど、大人が近くで見守る
- 寒さに弱いので、冬の室温や寝床を整える
- 歯周病になりやすいので、毎日の歯みがきを習慣にする
- 太りやすいので、ごはんとおやつを量って体重を管理する
- 散歩では、首に負担がかかりにくい胴輪(ハーネス)を使う
- ごほうびを使ったしつけを、家族みんなで続ける
太っていないかは、体重の数字だけでなく、体つきでも確かめられます。世界小動物獣医師会の目安では、ちょうどよい体つきは、あばら骨に余分な脂肪がなく触ると分かる、上から見てあばら骨の後ろにくびれがある、横から見ておなかが引き締まっている状態です。長い毛の子は、見た目ではなく手で触って確かめましょう。
運動は、1日30分ほどまでが目安です。ゆっくりした短い散歩でも十分な子が多く、息が荒くなって歩くのがつらそうなら、無理をさせずに抱いて帰りましょう。ブラッシングのほか、爪切りや耳の汚れの確認も定期的に行います。
気をつけたい病気
健康に長生きする子も多いですが、チワワには次のような病気が知られています。すべての子がなるわけではありません。親犬の検査を確かめ、体重を管理し、変化に早く気づくことが大切です。急いで受診したほうがよい様子は、この節の最後の「受診の目安」の枠にまとめています。
歯周病
歯と歯ぐきのまわりに炎症が起きる病気で、チワワにいちばん多い病気の一つです。イギリスで動物病院にかかっているチワワを調べた研究では、1年間に約13.5%の子に見つかっていました。乳歯が抜けずに残り、大人の歯と重なって生える子も約5.7%いて、歯の病気を合わせると約2割になります。子犬のうちから口に触れる練習をして、歯みがきを習慣にしましょう。
膝のお皿が外れる(パテラ)
膝のお皿(膝蓋骨)が正しい位置から外れる病気で、正式には膝蓋骨脱臼といいます。小型犬に多く見られます。歩いている途中で急にスキップしたり、片方の後ろ足を上げて3本足で走ったりして、少しすると何事もなかったように4本足に戻るのが典型的な様子です。軽い場合は手術をしないこともありますが、よく外れる場合は、関節炎や靭帯のけがを防ぐために手術がすすめられることがあります。
心臓の病気
生まれる前に使っていた血管が、生まれたあとも閉じずに残る病気(動脈管開存症)や、心臓の弁の病気(僧帽弁の病気)が知られています。先ほどのイギリスの研究では、死因が分かった80頭のうち約2割(15頭)が心臓の病気で、気管支や肺の病気(約16%)と並んで多い死因でした。健康診断のたびに、心臓の音を聴いてもらいましょう。
気管虚脱
空気の通り道(気管)がつぶれやすくなり、ガチョウの鳴き声のような「ガーガー」という乾いた咳が出る病気です。夜、興奮したとき、暑くて湿気の多いとき、食べたり飲んだりした直後、首輪で首が押されたときに出やすくなります。首輪より胴輪を使い、太らせない、たばこの煙を避けるといったことが、家でできる対策です。
子犬の低血糖
とても小さな子犬は、体にためておけるエネルギーが少なく、血糖値(血液中の糖分)が下がりやすくなります。元気がない、食べない、ぼんやりしている、ぴくぴくする、震える、けいれんする、呼びかけに反応しないといった様子が見られます。予防の基本は、1日の食事を何回かに分けてこまめに食べさせることと、体を冷やさないことです。
子犬の様子がおかしいときは、原因は低血糖だけとは限りません。家で様子を見ずに、まず動物病院へ電話し、指示を受けられるときはそれに従ってください。意識があって飲み込める子なら、ガムシロップや砂糖水など砂糖の入ったものを、指先でほんの少し歯ぐきに塗ってもかまいません。キシリトール入りや「糖類ゼロ」のものは、犬には使いません。口の中に流し込んだり、たくさん与えたりすると、気管に入る危険があります。塗ったあとも、すぐに病院へ向かってください。
意識がない子や、けいれんしている子の口には、物を入れないでください。毛布などで体を包んで保温しながら、急いで病院へ向かいましょう。震え方の見分け方は、チワワが震える理由(寒さ・不安・低血糖)で詳しく紹介しています。
水頭症と泉門
水頭症は、脳の中を流れる液体(脳脊髄液)がたまりすぎて、脳が圧迫される病気です。チワワなどの小型犬に見られ、生まれつきのものと、後から起こるものがあります。歩き方がおかしい、ぐるぐる回る、壁や床に頭を押しつける、目が見えにくそうに物にぶつかる、トイレを覚えられないといった様子のほか、けいれんや、ぼんやりする、食欲が落ちるといった様子が見られることもあります。子犬のうちは、はっきりした症状が出ないこともあります。
泉門(モレラ。モルメラとも呼ばれます)は、頭のてっぺんにある、骨がつながっていないやわらかい部分です。多くの子犬では生後9〜12週ごろに閉じますが、チワワでは大人になっても残る子がよくいます。水頭症の子では泉門が大きいことが多いものの、泉門があるから水頭症というわけではありません。泉門が残る子の多くは水頭症とは関係せず、元気に暮らしています。
ただ、フィンランドの大学がチワワ50頭を調べた研究では、9割以上の子に泉門があり、体重の軽い子ほど泉門が多く、大きい傾向がありました。泉門が多い・大きい子では、脳の中で液体がたまる空間(脳室)が大きい、背骨の中の神経に空洞ができる病気があるといった関係も見られました。症状のある犬とない犬を集めた50頭の小さな研究で、関係を示したもので原因までは分かっていません。泉門がある子は、健康診断で経過を見てもらいましょう。
なお、ドッグショーの審査では、泉門が開いたままの犬を国際的な基準は失格とし、アメリカの基準は認めていて、扱いが分かれています。これは見た目の審査の話で、健康かどうかとは別です。気になる様子があるときは、頭の形や泉門だけで判断せず獣医師に相談しましょう。診断には、泉門からの超音波検査や、CT・MRIが使われます。泉門のある子の暮らし方は、泉門(モレラ)が残るチワワの暮らし方で詳しく紹介しています。
家でできること
- 毎日の歯みがきと、体重・体つきの確認
- 首輪ではなく胴輪で散歩する
- 子犬のうちは食事を何回かに分け、体を冷やさない
- 頭をぶつけたり落ちたりしないよう、段差と床を整える
- 気になる咳や歩き方は、動画と起きた時刻を残しておく
受診の目安
- けいれんしている、意識がぼんやりして呼びかけへの反応が弱い
- 子犬がぐったりしている、食べない、ふらつく(震えを伴うことも)
- 息が苦しそう、歯ぐきや舌が青っぽい、倒れた
- 高い所から落ちた、頭を打った
- 急に立てなくなった、ぐるぐる回る、頭を壁に押しつける、物にぶつかるようになった
- 「ガーガー」という咳がくり返し出る(咳のあと息が苦しそう、舌の色が悪いときはすぐに連絡)
- 後ろ足を上げたまま歩く、足をつくのを痛がる
- 泉門があっても、元気・食欲があり、歩き方や反応がいつもどおり(次の健康診断で相談を。生後3〜4か月になっても閉じ始めないときも相談を)
- ときどきスキップするが、すぐ普通に歩き、痛がらない(一度は健康診断で膝を見てもらい、回数が増えたら受診を)
歩き方や反応、覚えていたことが少しずつ変わってきたときは、数日以内を目安に受診しましょう。受診までは、落ちたりぶつかったりしない安全な場所で休ませます。様子を動画に残せると診察の助けになりますが、撮影のために受診を遅らせないでください。迷ったときは、まず動物病院に電話で相談してください。
メキシコ生まれの歴史と名前の由来
チワワは、世界で最も小さい純血種の犬と考えられています。名前は、メキシコで最も大きな州「チワワ州」から来ています。はっきりした起源は分かっていませんが、約1,000年前のトルテカ文明の時代に「テチチ」と呼ばれる犬がいて、今のチワワの祖先の一つと考えられています。テチチは今のチワワより大きく、がっしりした犬でした。のちにアステカの人々が、より小さく軽い犬に育てたとされています。
1800年代の半ばに、アメリカの人々がチワワ州で多くの小さな犬を見つけたことから、「チワワ」の名で世界に知られるようになりました。アメリカのケネルクラブに初めて登録されたのは1908年です。
よくある疑問
- チワワに向いているのは、どんな人ですか?
-
家の中で一緒に過ごす時間が長く、落下や寒さに気を配り、歯みがきなどの毎日のお世話を続けられる人に向いています。小さな子どもがいる家では、大人が見守れることが条件です。
- オスとメスで性格は違いますか?
-
性格は性別だけで決まるわけではなく、親犬の気質や、子犬の頃の経験、家での過ごし方の影響も大きいと考えられています。性別で選ぶより、迎える前にその子や親犬の様子をよく見ておくことが大切です。
この記事は公開情報をもとにWANLABが編集した一般情報です。健康や行動に関する判断は、必要に応じて獣医師や専門家へご相談ください。
参考情報(出典23件)
- 国際畜犬連盟(FCI):Chihuahueño(犬種標準 No.218)
- ジャパンケネルクラブ:チワワ
- ジャパンケネルクラブ:犬種別犬籍登録頭数
- American Kennel Club:Official Standard of the Chihuahua
- American Kennel Club:Chihuahua
- Chihuahua Club of America:Teacup Statement
- Royal Kennel Club:Chihuahua (Smooth Coat)
- Royal Kennel Club:Chihuahua (Long Coat)
- VCA Animal Hospitals:Chihuahua
- O’Neill ほか:Demography and commonly recorded clinical conditions of Chihuahuas under primary veterinary care in the UK in 2016(BMC Veterinary Research, 2020)
- Kiviranta ほか:Persistent fontanelles in Chihuahuas. Part I(Journal of Veterinary Internal Medicine, 2021)
- Kiviranta ほか:Persistent fontanelles in Chihuahuas. Part II(Journal of Veterinary Internal Medicine, 2021)
- VCA Animal Hospitals:Hydrocephalus in Toy Breed Puppies
- VCA Animal Hospitals:Open Fontanelle in Small Breed Puppies
- Merck Veterinary Manual:Congenital and Inherited Cerebral Disorders in Small Animals
- VCA Animal Hospitals:Luxating Patella in Dogs
- VCA Animal Hospitals:Tracheal Collapse in Dogs
- Cornell University College of Veterinary Medicine:Tracheal collapse
- Metropolitan Veterinary Associates:Hypoglycemia in Small Breed Puppies
- Merck Animal Health:Handling a Diabetes Emergency
- Merck Veterinary Manual:Xylitol Toxicosis in Dogs
- World Small Animal Veterinary Association(WSAVA):Body Condition Score(Dogs)
- American Veterinary Society of Animal Behavior:Humane Dog Training Position Statement(2021年)




