この記事は、公開されている情報や犬種に関する一般的な知見をもとにWANLABが独自にリサーチ・編集しています。できる限り正確な内容を心がけていますが、情報が古くなっている場合や個体差によって当てはまらない場合もあります。健康やしつけに関する判断は、必要に応じて獣医師や専門家にもご相談ください。
この記事の要点
犬がけいれんしたら、口に手や物を入れず、体を押さえつけません。階段・水・硬い角・倒れそうな物から守り、発作の開始時刻を測って動物病院へ連絡します。
2分ほど続いて止まらない時点で救急病院へ連絡し、5分以上続く、24時間以内に複数回起こる、呼吸や意識が戻らない場合は直ちに救急受診してください。短時間で止まっても初回は早めの診察が必要です。
突然、犬が倒れて足を突っ張り、全身を大きく動かす。助けようとして抱きしめたくなりますが、その手が犬と人の両方を傷つけることがあります。
最初にするのは、発作を止めることではありません。周囲を安全にし、時間を測り、救急受診の線を越えていないか確かめることです。原因はてんかんだけでなく、中毒、代謝異常、脳の病気、外傷などさまざまで、家庭の見た目だけでは決められません。

発作が始まったら最初に行う5つのこと
- 時刻を測る:気づいた時点でスマートフォンのタイマーを開始する
- 周囲を空ける:硬い物、倒れそうな物、コード、暖房器具を犬から離す
- 落下を防ぐ:階段の下側をふさぎ、ソファやベッドの上なら転落を避ける
- 刺激を減らす:人やほかの動物を離し、照明と音を抑える
- 病院へ連絡する:続いている時間、初回か、繰り返しているかを伝える
Cornell University College of Veterinary Medicine、VCA Animal Hospitals、Royal Veterinary Collegeはいずれも、犬を押さえつけず、口から離れ、危険物をどけて時間を記録することを勧めています。犬が舌を飲み込むことはなく、口へ手やスプーンを入れても発作は止まりません。
動かす必要があるのは、階段から落ちる、水へ入る、火や車に近いなど、その場に明確な危険があるときです。それでも口元や足先をつかまず、可能なら厚い毛布やクッションで危険との間を隔てます。安全な床にいるなら、触れずに終わるのを待ちます。

してはいけない対応
- 口へ手、指、スプーン、タオルなどを入れる
- 舌を引っ張る、口を開けようとする
- 抱きしめる、足や胴体を押さえ込む
- 大声で呼ぶ、体を揺する、水をかける
- 発作中や意識が戻らないうちに食べ物・水・飲み薬を口へ入れる
- 人用薬や、別の犬の薬を自己判断で使う
発作中の犬は周囲を認識できず、意図せず強くかむことがあります。発作後もしばらく混乱し、見えにくそうに歩く、落ち着かない、普段と違う反応を示す場合があります。処方済みの救急薬がある犬だけは、主治医から教わった条件・方法どおりに使い、それ以外の投薬はしません。
動画と記録は診断の手がかりになる
発作に見える動きのすべてが、脳の異常な電気活動による発作とは限りません。失神、震え、平衡感覚の異常、睡眠中の動きなどが似て見えることもあります。Cornellは、動画が心臓由来の失神や前庭の異常と発作を分けて考える助けになると説明しています。
- 開始から終了までの長さ
- 倒れる前の行動や、呼びかけへの反応
- 全身か、顔・片足など一部だけの動きか
- 体の硬直、足のこぎ、口の動き、よだれ
- 排尿・排便の有無
- 終わった後に立てるか、反応・呼吸・歩き方が戻るか
- 直前の食事、誤食の可能性、服薬、外傷、高温環境

撮影は安全を確保した後です。犬の全身と顔が入る距離から短く記録し、危険な場所へ近づいたり、撮り直したりはしません。一人なら、動画よりタイマーと病院への連絡を優先します。
救急受診を急ぐ時間とサイン
発作中は時間が長く感じられます。感覚で判断せず、時計で測ります。Royal Veterinary Collegeは2分で止まらなければ直ちに動物病院へ向かうよう案内しています。2分ほど続いている時点で救急病院へ電話し、搬送の指示を受けてください。
Cornell、Merck Veterinary Manual、VCAは、5分を超える持続発作を生命に関わるstatus epilepticusとして扱っています。また、24時間以内に複数回起こる群発発作も救急です。発作が移動中に止まっても、病院の指示なく引き返しません。
| 状況 | 行動 |
|---|---|
| 2分ほど続き、まだ止まらない | 救急病院へ電話し、搬送準備を始める |
| 5分以上続く | 生命に関わる救急として直ちに搬送する |
| 24時間以内に複数回起こる | 一度ずつ短くても救急受診する |
| 発作後も呼吸・意識が戻らない、立てない | すぐ救急病院へ連絡して搬送する |
| 誤食・中毒、頭部外傷、高温環境が疑われる | 発作の長さを待たず救急相談する |
| 初めての発作が短時間で止まった | 回復後も早めに獣医師の診察を受ける |
何分なら必ず安全、という線はありません。激しい発作、呼吸困難、青・紫・白っぽい歯ぐき、意識が戻らない、けがや中毒の可能性がある場合は、5分を待たずに救急対応が必要です。持病がある犬や、主治医から個別の救急計画を受けている犬は、その指示を優先します。
発作が止まった後の見守りと搬送
止まった直後に元どおりになるとは限りません。発作後は、ぼんやりする、ふらつく、見えにくそうにぶつかる、歩き回る、強く食べ物を求めるなどの変化が出ることがあります。普段は穏やかな犬でも混乱からかむ可能性があるため、顔を近づけません。
- 階段や家具の隙間をふさぎ、静かで片付いた範囲に留める
- 呼吸、歯ぐきの色、反応、立てるかを離れて確認する
- 十分に意識が戻るまで口元へ手を出さず、飲食を無理にさせない
- 病院へ開始時刻、持続時間、回数、回復の様子を伝える
- 移動時は毛布や滑りにくい敷物を使い、転倒を防ぐ

短時間で落ち着いても、初めての発作なら診察を受けます。発作は一つの症状であり、てんかんという病名を家庭で確定できません。年齢、診察所見、血液検査、必要に応じた画像検査などから、獣医師が原因を絞ります。
震え・失神・発作は見た目だけで決めない
寒さや不安による震えでは、呼びかけに反応し、立ったまま震えることがあります。失神では力が抜けるように倒れ、比較的早く戻る場合があります。一方、発作には全身の硬直や足のこぎだけでなく、顔の一部が繰り返し動く、空中をかむような動作など、部分的な見え方もあります。
ただし、反応の有無や動きだけで確実に分けることはできません。「震えだったから大丈夫」「一度だけだからてんかん」と決めず、動画と前後の記録を獣医師へ見せます。呼吸困難、虚脱、青紫色の歯ぐきがあれば、発作か失神かの判定より搬送を優先してください。
よくある質問
- 犬がけいれん中に舌をかまないよう、口へ物を入れるべきですか?
-
入れません。犬が舌を飲み込むことはなく、口へ手や物を入れても発作は止まりません。人が強くかまれたり、犬の口や歯を傷つけたりする危険があります。口元から離れ、周囲の危険物をどけてください。
- 短い発作が1回で止まれば、受診しなくてもよいですか?
-
初めてなら、回復後も早めに獣医師へ相談してください。発作には脳の病気だけでなく、中毒や代謝異常なども関係します。誤食、外傷、呼吸や意識の異常が疑われる場合は、短くても救急相談が必要です。
- 動画はどこまで撮れば役立ちますか?
-
犬の全身、顔、呼びかけへの反応が分かる短い動画が役立ちます。開始・終了時刻も記録します。ただし、安全確保と病院への連絡が先です。犬へ近づく、動かす、搬送を遅らせる必要はありません。
- 発作後に歩き回る犬を寝かせた方がよいですか?
-
無理に押さえて寝かせません。発作後は混乱して歩き回ることがあります。階段や家具の隙間をふさぎ、静かで安全な範囲に留め、顔を近づけずに見守ります。反応や呼吸が戻らない、立てない場合は救急受診してください。
まとめ
犬がけいれんしたときは、口へ手や物を入れず、押さえつけず、危険物をどけて時間を測ります。安全に撮れる動画と、発作前後の反応・呼吸・歩き方の記録は、診察の重要な手がかりになります。
2分ほど続いて止まらないなら救急病院へ連絡し、5分以上、24時間以内の複数発作、呼吸や意識が戻らない場合は直ちに搬送します。犬を止めようとする手は引き、代わりにタイマーを押してください。その一動作が、犬を安全に診断できる場所へつなぎます。
参考情報
- Cornell University College of Veterinary Medicine「Managing seizures」(2026年7月23日閲覧)
- Cornell University College of Veterinary Medicine「Idiopathic epilepsy in dogs」(2026年7月23日閲覧)
- Merck Veterinary Manual「Anticonvulsants for Treatment of Animals」(2026年7月23日閲覧)
- VCA Animal Hospitals「Seizures in Dogs」(2026年7月23日閲覧)
- Royal Veterinary College「First Aid Guide for Your Pet」(2026年7月23日閲覧)



