この記事は、公開されている情報や犬種に関する一般的な知見をもとにWANLABが独自にリサーチ・編集しています。できる限り正確な内容を心がけていますが、情報が古くなっている場合や個体差によって当てはまらない場合もあります。健康やしつけに関する判断は、必要に応じて獣医師や専門家にもご相談ください。
この記事の要点
- 濡れていない犬が全身を一度ブルブル振る動きは、遊びや挨拶から次の行動へ移る場面でも見られます。1回だけで強いストレスとは断定しません。
- 全身の一振り、頭だけを何度も振る動き、止められない細かな震えは、同じ「ブルブル」に見えても分けて観察します。
- 耳をかく、赤み、におい、分泌物、痛み、皮膚のかゆみが伴うなら、耳や皮膚の違和感を考えて早めに動物病院へ相談します。
- 震えが続く、立てない、ふらつく、意識や呼吸がおかしい、けいれん、誤食の可能性がある場合は救急受診を優先します。
見るべきなのは「ブルブルした」という一点ではなく、動き方、回数、直前直後、耳・皮膚・全身状態の組み合わせです。
雨にも濡れていないのに、犬が突然、頭からしっぽ側へブルブルッと体を振った。遊び終わりや、知らない犬と離れた直後なら、「緊張していたのかな」と気になるかもしれません。
その見方は候補のひとつですが、動きだけで感情は決められません。全身の一振りは行動の切り替わりにも現れます。一方、頭だけを繰り返し振るなら耳、細かな震えが止まらないなら体調の確認が先です。似て見える三つを、まず分けてみましょう。

同じブルブルでも、全身・頭・震えは分けて見る
濡れた犬が水を飛ばすように、頭から胴へ波が移る一連の動きは「シェイクオフ」と呼ばれることがあります。短く一度で終わり、そのまま別の行動へ移るなら、まず前後の状況を観察できます。
これに対して、頭だけを左右へ何度も振る、片耳を気にする、耳を床へこすりつける動きは、耳のかゆみや痛みと一緒に出ることがあります。体全体が細かく震え続け、本人が止められないように見える動きは、寒さ、痛み、恐怖、神経系の異常、誤食など幅広い候補があり、シェイクオフと同じ意味にはできません。
| 見える動き | 一緒に見ること | 次の行動 |
|---|---|---|
| 頭から胴へ一度振る | 遊び、挨拶、休息など直前直後の場面 | 単独で決めつけず記録する |
| 頭だけを繰り返し振る | 耳の赤み、におい、分泌物、痛み、傾き | 早めに病院へ相談する |
| 体が細かく震え続ける | 意識、呼吸、歩行、嘔吐、誤食の可能性 | 全身状態で緊急度を判断する |
| 発作のように倒れる | 反応、手足の動き、よだれ、回復までの様子 | 安全を確保して救急へ連絡する |

濡れていないときの一振りは「切り替わり」に現れることがある
犬のシェイクオフは、長く「ストレス行動」と説明されてきました。けれども、社会的な場面で犬を観察した2024年の研究では、多くの一振りが異なる行動や活動の間に現れました。研究は、シェイクオフが行動の切り替わりを示す可能性を支持する一方、犬の感情状態を変えた証拠までは示していません。
つまり、診察台から降りたあと、犬同士の挨拶が終わったあと、抱っこから床へ戻ったあとに出る一振りは、緊張が関係する場合もあれば、単に次の行動へ移る区切りの場合もあります。「ブルブルしたから嫌だった」と一つの意味へ固定しないことが大切です。
- 直前:触られた、遊んだ、犬や人と挨拶した、寝起きだった
- 直後:歩き出す、においを嗅ぐ、休む、相手から距離を取る
- 全身:耳を伏せる、尾を下げる、体を硬くする、逃げる、パンティングなどが重なるか
- 反復:一度で終わるか、同じ場面で何度も続くか
一回の動作より、この前後関係を短い動画で残すほうが、家庭でも専門家への相談でも役立ちます。撮影のために同じ状況をわざと再現する必要はありません。
耳や皮膚の違和感を疑うサイン
頭振りが増えたときは、行動の意味探しより耳の状態を優先します。Merck Veterinary Manualは、外耳炎で頭振り、かゆみ、痛み、におい、赤み、腫れ、分泌物などが見られると説明しています。原因は感染だけでなく、アレルギー、寄生虫、異物などに分かれ、見た目だけでは決められません。
首や背中まで振るように見えても、始まりが頭で、耳をかく動作が重なるなら耳の違和感が隠れていることがあります。また、皮膚のかゆみは診断名ではありません。体をこすりつける、足先をなめる、毛が抜ける、赤み、かさぶた、べたつき、においが続くなら、皮膚も含めて受診時に伝えます。

家庭でできるのは、外から見ることと記録まで
- いつ、どこで、何の直後に出たかをメモする
- 全身か頭だけか、何秒ほどで終わったかを安全な距離から動画に残す
- 耳の外側の赤み、腫れ、左右差、におい、見える範囲の分泌物を確認する
- 皮膚の赤み、脱毛、傷、なめ続ける場所がないかを見る
- 食欲、元気、歩き方、呼吸、嘔吐、排泄の変化も一緒に記録する
耳の奥へ綿棒を入れる、手元にある洗浄液や点耳薬を試す、強く押さえて確認するのは避けます。鼓膜の状態や原因が分からないまま耳へ液体を入れると、刺激や問題の悪化につながることがあります。人用のかゆみ止めや鎮痛薬も自己判断では使いません。
行動として気になる場合も、ブルブルを叱って止めるのではなく、距離を取れる場所や休める環境を用意します。動作を消すことより、その犬が何から何へ移ろうとしていたのかを観察するほうが、次の対応を選びやすくなります。
すぐ受診を優先したいブルブル
耳を頻繁に振る、痛がる、悪臭や分泌物がある、耳たぶが腫れた場合は、できるだけ早く動物病院へ相談します。頭が傾く、まっすぐ歩けない、目が細かく揺れる、吐くなどが加わる場合は、内耳を含む問題も否定できないため、その日のうちの受診が必要です。
体の震えが本人の意思で止められず続く、立てない、倒れる、反応が乏しい、呼吸が苦しそう、けいれんする、誤食や薬品への接触が疑われる場合は救急です。動画は安全に撮れる範囲にとどめ、撮影や原因探しで出発を遅らせないでください。

よくある質問
- 犬がブルブルしたら、必ずストレスを感じていますか?
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必ずとは言えません。濡れていないときの全身の一振りは、行動の切り替わりにも現れます。耳、尾、体の硬さ、距離の取り方、直前直後の状況を合わせて見てください。
- 寝起きや撫でたあとに一度だけ振るのは様子を見てもいい?
-
一度で終わり、その後も普段どおりで、耳や皮膚の症状がなければ前後の状況を記録できます。ただし、回数が増える、頭振りやかゆみが加わる、全身状態が変わる場合は相談してください。
- 頭を何度も振るとき、耳掃除をすれば治りますか?
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自己判断の耳掃除で治るとは限りません。外耳炎、アレルギー、寄生虫、異物などで対応が異なります。耳の奥へ綿棒や液体を入れず、早めに動物病院で確認してもらいましょう。
- ブルブルと震えの違いが分からないときは?
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安全な距離から全身が映る短い動画を撮り、動物病院へ相談してください。止められない震え、ふらつき、意識や呼吸の変化、けいれん、誤食の可能性があれば、動画より救急受診を優先します。
まとめ|一度の動きではなく、前後と全身を見る
濡れていない犬の全身の一振りは、緊張のあとに出ることも、単に行動が切り替わるところに現れることもあります。だからこそ、「ストレスだ」と決めるより、何の直後で、その後どう動いたかを見ることが出発点です。
ただし、頭振りの反復と耳・皮膚症状、不随意な震えと全身症状は別です。耳の違和感は早めに相談し、立てない、意識や呼吸がおかしい、けいれん、誤食の可能性があるなら救急へ。ブルブルの形を分けると、見守る場面と急ぐ場面が見えてきます。
参考情報
- Correia-Caeiroほか「Shake It Off: Investigating the Function of a Domestic Dog Behavior in Social Contexts」:濡れていない犬のシェイクオフと行動の切り替わりを観察した研究
- Merck Veterinary Manual「Otitis Externa in Animals」:頭振り、かゆみ、痛み、におい、赤みなど外耳炎の所見
- Merck Veterinary Manual「Itching (Pruritus) in Dogs」:かゆみを診断名ではなく症状として見るための情報
- PDSA「Itchy ears and head shaking in dogs」:頭振りと耳・皮膚症状、受診の考え方
- Cornell University College of Veterinary Medicine「Emergency and Critical Care」:平衡喪失、けいれん、活動性の震えなど救急サイン



