この記事の要点
犬種の割合は、愛犬のDNAを既知の犬種データと比べた推定値です。比べるデータや計算法が違えば、会社ごとに結果が変わることがあります。
まず結果票の「犬種」と「健康」を分けて読みましょう。健康欄の変異が見つかっても発症確定とは限らず、陰性も健康の保証にはなりません。気になる結果は獣医師に見せて確認します。
この記事は公開情報をもとにWANLABが編集した一般情報です。健康や行動に関する判断は、必要に応じて獣医師や専門家へご相談ください。
見た目から想像していなかった犬種名が、愛犬のDNA検査に出てきた。別の会社では割合も違うと知ると、どちらを信じてよいのか迷います。
数字が細かく表示されていても、犬種割合は血統書そのものではありません。何を比べて出した数字かを知ると、結果票の読み方が変わります。
犬種割合は、DNAの一致を集めた推定値
犬種判定では、愛犬のDNAの特徴を、犬種が分かっている犬たちのデータと照合します。この比較の土台を参照データと呼びます。
たとえばEmbarkは、DNAを区間ごとに既知の犬種と比べ、どの犬種に由来すると考えられるかを割り当てる方法を説明しています。その区間を集計したものが、結果票の犬種割合です。
- 比べる犬のデータ:収録する犬種や、その犬種内の多様さが違う。
- DNAの調べ方と計算法:どの特徴を使い、似た犬種をどう区別するかが違う。
同じDNAでも、この組み合わせが違えば割り当て先が変わり得ます。少数の割合が出たときも、その数字だけで特定の祖先を言い当てたとは考えないほうがよいでしょう。
検査方法は更新もされます。Wisdom Panelは2026年6月に参照データと解析法の更新を発表しました。結果を比べるときは、会社名だけでなく検査日や解析の版も確認したい点です。
「登録犬種が含まれる」と「100%一致」は別
犬種名が正しく結果に入っていても、その犬種だけで100%になるとは限りません。この違いが見えたのが、登録された純血犬を使った小規模研究です。
研究で分かったこと
2024年公表の研究では、12犬種から1頭ずつ、計12頭の頬の検体を6社に送りました。2021〜2023年に得た結果では、6社中5社で、返却された結果すべてに登録犬種が含まれていました。
ただし、多くの検査では全頭が登録犬種100%になったわけではありません。一部の検体は結果が返らず、会社ごとの評価数も同じではありませんでした。
この研究では分からないこと
対象は少数の純血犬です。さまざまな組み合わせのMIX犬で何割まで正しいか、現在の各社でどこが最も正確かは、この研究からは決められません。
愛犬の結果を見るときも、「犬種名が含まれたか」と「割合まで確定したか」を分けると、数字の受け止め方が落ち着きます。
健康結果は、犬種割合と別の欄で読む
健康欄で主に調べるのは、病気や体質に関係する特定の遺伝的変異があるかです。犬種割合の「何%」は、その病気になる確率ではありません。
結果票にある変異名、保有するコピー数、対象犬種を確認しましょう。0・1・2コピーの意味は、変異の遺伝の仕方や病気ごとに変わります。「1コピーだから心配なし」と一律には読めません。
2コピーあっても、発症が決まるとは限らない例
変性性脊髄症(DM)に関わるSOD1変異では、2コピー持つ犬すべてが発症するわけではありません。UC Davis獣医遺伝学研究所とMerck Veterinary Manualは、この性質を「不完全浸透」と説明しています。
この結果は発症リスクを考える材料で、症状の原因を確定する診断ではありません。犬種による適用範囲も含めて、獣医師と解釈する必要があります。
反対に「陰性」「クリア」は、通常、その検査が対象にした変異が見つからなかったという意味です。検査対象外の変異や、遺伝以外の原因まで否定する結果ではありません。
結果だけを理由に薬をやめたり、治療を始めたりせず、獣医師へ結果票を見せてください。歩き方など普段の様子に変化があれば、陰性でも相談し、いつからどう変わったかを伝えましょう。
結果票を手元に、確認したい5項目
割合の違いが気になるときは、まず検査会社へ確認できる情報をそろえます。WANLABでは、次の順に結果票を読むことを提案します。
- 愛犬の検体か:名前、検体番号、採取・検査日を照合する。
- 何を調べた検査か:犬種推定と、健康に関わる変異の検査を分ける。
- 犬種割合の説明:参照データ、解析の版、小さな割合や判定保留の扱いを確認する。
- 健康欄の検査範囲:変異名、コピー数、犬種への適用性、調べていないものを確認する。
- 相談先:結果の説明窓口があるか確認し、健康の判断は獣医師と行う。
説明や相談体制にも、確認する価値があります
2025年にオンライン公開された欧州11検査機関の調査は、ウェブ情報、結果票、問い合わせへの対応を調べ、説明や相談支援の改善を提言しました。
調査の範囲は、情報提供とサービスの質です。遺伝子型を正しく測れるかを直接検証した研究ではありません。
検査結果は、愛犬を知るための一つの材料です。結果票の数字と、毎日の様子や診察で分かることを一緒に見ていくと、役立てる場面が見えてきます。
よくある疑問
- ある犬種が25%なら、祖父母の1頭がその犬種ですか?
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その割合だけでは特定できません。Embarkの推定家系図も、割合を説明できる家系の候補です。同じ割合になる組み合わせは複数あり、母方・父方も判別できないと説明されています。
- 健康検査が陰性なら、気になる症状は様子見でよいですか?
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陰性を受診延期の理由にしないでください。その検査の対象外の変異や、別の病気もあります。歩き方や体調に変化がある場合は、結果票と変化の記録を持って獣医師へ相談しましょう。
- 会社ごとに違ったら、さらに別の会社で調べるべきですか?
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追加購入の前に、検体情報、解析日、判定の説明を各社へ確認するのが一案です。結果を多数決で確定することはできません。健康上の判断が目的なら、必要な検査を獣医師と相談してください。
参考情報
2026年9月8日確認。企業資料は自社の方法・更新内容の説明として参照し、第三者による精度保証とは扱っていません。
- Randoほか(2024)12犬種12頭・6社の犬種判定研究
- Adantほか(2025年オンライン公開)欧州11検査機関の調査
- AAHA:獣医師・研究者が解説する遺伝子検査(2025)
- UC Davis獣医遺伝学研究所:変性性脊髄症(DM)
- Merck Veterinary Manual:脊髄の変性疾患
- Embark:犬種の組み合わせを推定する仕組み
- Embark:推定家系図が示すもの
- Wisdom Panel:2026年の犬種解析更新について




